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2022.02.09 08:00

【高知に重点措置】情報発信の在り方に課題

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 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、高知県は「まん延防止等重点措置」の適用を政府に要請した。政府は10日にも正式に決定する見通しで、本県への適用は、流行の「第5波」だった昨夏以来となる。県全域を対象に、3週間程度の期間を想定する。
 浜田省司知事はこれまで、重点措置の適用に慎重な姿勢を示してきたが、医療体制への負荷が増す状況を踏まえ、方針を転換した格好だ。危機感を新たにするメッセージと受け止め、県民一人一人が感染防止対策の徹底に努めたい。
 感染力が極めて強いオミクロン株が猛威を振るい、県内でも新規感染者が急増。今月に入り200人を超える日が相次いでいる。
 なかでも重症化リスクの高い高齢者の感染割合が高まり、県が重視する病床占有率も上昇傾向にある。重症者用の病床が4割以上埋まっている状況も気がかりだ。
 浜田知事は第6波に際し、重点措置の効果を「限定的」として適用には慎重だった。政府が基本的対処方針で飲食店の営業時間短縮を中心としているのに対し、県内では家庭や職場、学校、保育園などが感染の主体だからだ。
 だが、感染状況は深刻さを増すばかりだ。県内の保健所は業務が逼迫(ひっぱく)し、複数の医療機関でクラスター(感染者集団)も発生している。
 今のところ、必要になれば病院やホテルに入所できる状況とはいうものの、感染のピークは見通せない。医療提供体制を維持するために「あらゆる手段を動員」する段階に至ったとの判断自体はうなずけよう。
 ただ、日々の新規感染者が加速度的に増える局面で、浜田県政の危機感がどれだけ県民に伝わっていたのか。県議会で県政与党の議員が苦言を呈する場面もあったが、情報発信での課題は否めない。
 重点措置の適用で、飲食店は再び時短営業や酒類の提供停止が求められる。協力金支給を歓迎する一方、感染拡大の主要因ではないにもかかわらず、営業への制約を強いられることに反発する声もある。
 飲食店にとっては従業員の生活や仕入れコストなどに関わる問題だ。方針の転換に戸惑っても不思議はない。事前に危機感をより強く発信することもできたに違いない。
 効果を疑問視してきた対策を、そのまま適用する姿勢も説得力を欠くのではないか。
 効果が「限定的」とみていたのなら、もっと効果が期待できる対策を政府に提言する方法もあったろう。オミクロン株の特性に合った対策を求める声はほかの自治体にもある。地方の実情を踏まえた政策の重要性は新型コロナ対策に限らず増しているはずだ。
 県内でも自宅での療養や待機を余儀なくされる人が増えている。その支援や急変時の対応をいかに円滑に行うか。行政や医療の人員が限られる中で、情報の重要性が増す。
 県内外への発信に浜田知事のリーダーシップを求めたい。

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