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2021.12.22 08:35

高知特産「山北ミカン」寒波被害で収量2割減「回復に10年」...農家悲鳴、長雨も追い打ち

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枝木が枯れ、部分的に剪定している山北ミカンの木(写真はいずれも香南市香我美町口西川)

枝木が枯れ、部分的に剪定している山北ミカンの木(写真はいずれも香南市香我美町口西川)

 今年1月の寒波の影響で木が枯れるなどの被害を受けていた高知県香南市特産の温州ミカン「山北ミカン」の今季の収穫量が、平年より約20%少ない2400トンになる見込みであることが分かった。植え替えなどを進め、収穫量が平年並みに回復するには10年ほどかかるとされ、生産者らは頭を抱えている。

 被害が出たのは、露地栽培のミカン。JA高知県香美地区管内では178戸が約164ヘクタールで栽培し、平年の収穫量は約3千トンに上る。

 ミカンは氷点下7度を下回ると木が枯れるとされる。同市香我美町口西川地区では1月の3日間に同7・7~9・5度を記録。同JA管内では、寒波の影響で枯死し、根こそぎ植え替える必要がある木が7千本に上った。

 枝枯れもひどく、剪定(せんてい)した木が弱るなどの被害も拡大した。ある農家は「切った先からダメージが広がるのを防ぐため、消毒や追加剪定をするが、収穫期の忙しさもあり追いつかなかった。被害は予想以上」。4月の調査時から被害はさらに1ヘクタール、約2千本増え、計12ヘクタールで約1万5千本に枯死、枝枯れを確認した。

寒害を乗り越え、たわわに実った山北ミカン 

寒害を乗り越え、たわわに実った山北ミカン 

 8月の長雨も追い打ちをかけた。実に黒い斑点が付く「黒点病」が発生。味には影響しないものの、等級が下がるという。口西川地区で約20年間栽培する近森秀好さん(53)は「見た目の悪さも影響し、出荷量は予想以上に落ちた」と話す。

 寒害と病害のダブルパンチは深刻。近森さんは「これほどの被害が出るとは。さすがにやる気がなくなります」と肩を落とす。

 国の補助事業で苗木代や収益の一部は保障される。とはいえ、実が収穫できるようになるまで5、6年かかり、従来の収穫量を取り戻すにはさらに5年ほどを要するという。高知を代表するブランドミカンが直面する苦境。生産者たちは「単年でなく、長期的な救済措置が必要だ」と訴えている。(深田恵衣)

高知のニュース 香南市 農業

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