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2021.10.24 08:32

「赤ちゃん会」の先生、助産師さんに聞きました  1~2歳 子育てのポイントは?

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 新型コロナウイルスの影響で、秋に延期していた今年の「赤ちゃん会」は昨年に続き、中止となりました。参加を楽しみにされていた皆さまには大変申し訳ございませんでした。
 
 今年の対象者は2019年10月1日~20年9月30日生まれで、現在1~2歳。「赤ちゃん」を卒業し、自我が芽生え、活発に動く時期ですね。
 
 この時期の子育てのポイントについて、赤ちゃん会で毎年、親子と関わっている高知大学医学部小児科教授の藤枝幹也さん、高知県助産師会会長の浜口理恵さんに聞きました。“紙面版赤ちゃん会”としてお届けします。(構成=メディア企画部)
 

【回答者】
・高知大学医学部小児科教授 藤枝幹也さん
・高知県助産師会会長 浜口理恵さん
(左から)藤枝幹也さんと浜口理恵さん

(左から)藤枝幹也さんと浜口理恵さん



Q 1~2歳の発達は?
A 行動範囲が広がります
 1歳ごろから「1人で立つ」「伝い歩きをする」というふうに発達していきます。歩けるようになると、「走る」「階段を歩いて上る」など、さらに行動範囲が広がります。
 
 言葉も発達し、言葉でコミュニケーションが取れるようになります。1歳ごろは「パパはどこ?」といった単純な質問に応答するぐらいだったのが、2歳ごろになると、「床にある絵本を拾って、本棚に片付けて」といった2段階の指示に応えられるようになります。
  
Q しつけに悩んでいます
A 怒鳴らずに「駄目」と伝えて
 幼児期では、規則正しい生活習慣を少しずつ身に付けていきます。親としては「きちんとしつけを」と考える時期でもあります。イヤイヤやかんしゃくが始まる子どももいて、手を焼く場面も増えてきます。
 
 しつけについて、藤枝さんは「子どもを怒鳴ったり、長々と説明しても無駄です。たたくのもやめましょう」。「駄目」と伝えるだけで十分です。
 
 人をたたく、かむ、物を投げるなどよくない行動をした時、藤枝さんが勧めるのが「タイムアウト」です。子どもをその状況から離すための方法で、アメリカの小児科学会も勧めています。
 
 目安は「子どもの年齢プラス1分」。この時間は子どもの安全を確保した上で、お説教せずに見守ります。「親もつい腹が立った時には、この時間で冷静になれますよ。タイムアウト後はしっかり褒めてくださいね」
  
Q トイトレはいつから?
A おしっこを2時間しなくなってから
 1歳を過ぎると気になるトイレトレーニング(トイトレ)。保育園では1歳台から始まることが多いですが、「個人差がある」と藤枝さんは説明します。
 
 始める目安は「2時間おしっこをせずに過ごせる」「トイレに興味を持つ」などで、多くは2歳~2歳半ごろとのことです。
 
 約2時間おきにトイレやおまるに座り、タイミングよくおしっこをしたらたくさん褒めることを繰り返します。「うまくいかない時は中断し、また再挑戦して構いません。親子でリラックスし、楽しく取り組んでみてください」

Q 卒乳はいつ?
A 決まった時期はありません
 母乳をいつまで続けるかについて、「昔は『1歳で断乳』と言われていましたが、今は決まった時期はありません」と浜口さん。「子どもの動きが活発になって興味が他に広がり、自然に卒乳する」と言う流れが理想とされていますが、「お母さんの仕事や体調、次の妊娠などでやめる人もいます」。
 
 早めにやめた場合は抱っこの時間を増やす、読み聞かせするなど、子どもと落ち着ける時間をつくってみてください。「周りの意見よりも、子どもとお母さんがどうしたいかを大切にしましょう」

Q 毎日の生活で注意することは?
A 思わぬ行動が事故につながります
 運動能力が発達すると、子どもは興味のある物に自分から近づき、関わり始めます。藤枝さんは「移動する、触るなどの行動が思わぬ事故につながることがある」と注意を呼び掛けます。
 
 薬や包丁などは手の届かない所に置く、テレビや家具などが倒れないように固定するなど、子どもの周りが安全かどうかを見直しましょう。
 
 特に気をつけたいのが誤飲と窒息です。「何でも口に入れるので、小さいおもちゃに注意を。食べ物でも窒息します。果物や肉の塊などは5ミリ角に切ると安心ですよ」

Q 子育てがしんどいです
A 直接会って話せる場もつくって
 乳児期はゆったりした時間の中で、産後のお母さんの体を回復させていく時期でもありました。幼児期に入ると、子どもは活発に動き始めます。「目が離せなくなり、別の体力が必要になる」と浜口さんは話します。
 
 次の妊娠をし、動き回りたい子どもに十分に対応できない場合もあります。「子育てはいかに周囲の人を巻き込んでいくかが大事。子育ての当事者であるお父さんはもちろん、家族や知人などに協力を求めましょう」
 
 近くに頼れる人がいない場合は、子育て支援センターや園庭開放などを活用しましょう。「県内では開業助産師が産後ケアや子ども食堂、家庭訪問などに取り組んでいます。ネットの情報だけではなく、直接会って話せる場も大事にしてくださいね」
 
Q コロナが心配です
A 大人がしっかり対策を
 コロナ禍での妊娠、出産、育児は通常よりも気掛かりが増えます。幼児は感染対策が難しいことも気になりますね。
 
 日本小児科学会は2歳未満の子どものマスク着用について、窒息などの危険があると呼び掛けています。「マスクはさせず、手洗いをしっかり習慣付けましょう。あとは大人がワクチン接種を含め、感染対策を行いましょう」と藤枝さん。
 
 感染対策にはマスクが必要ですが、周囲の大人がマスク姿で関わることが子どもの脳の発達に影響を与えるのではないかということも指摘されています。「子どもは口元も含めた顔の表情で相手の気持ちを理解していきます。家では親がマスクを外して話し掛け、表情豊かに関わってあげてください」
 
 
第89回赤ちゃん会・高知会場

第89回赤ちゃん会・高知会場

 
第89回赤ちゃん会・幡多会場

第89回赤ちゃん会・幡多会場


赤ちゃん会とは?
13万人以上が参加 成長祝い、支える場に
 「赤ちゃん会」は毎年4月に高知市と宿毛市で開かれています。
 
 始まりは1929(昭和4)年に開かれた「赤ちゃん審査会」。69年に「赤ちゃん診査会」、89年に「赤ちゃん会」へと名称が変わりました。次回で90回の節目を迎えます。
 
 会場では身体測定、小児科医による診察、歯科医による歯科検診などが行われ、お父さんやお母さんに抱っこされた赤ちゃんが順番に進んでいきます。
 
 初めての場所や診察にびっくりし、「うわーん」「ふえーん」と泣く赤ちゃんと、それを温かく見守る親やきょうだいたち。にぎやかな会場のあちこちで、ほほ笑ましい家族の様子が見られます。
 
 近年は相談コーナーが充実。眼科、皮膚科、歯科、栄養、受動喫煙などに関する相談を受け付けています。
 
 赤ちゃん会にはこれまで13万人以上の赤ちゃんが参加しました。赤ちゃんのすこやかな成長を祝い、子育てを支える場として、歩みを続けます。


ウェブ版赤ちゃん会 ココハレで掲載
 赤ちゃん会に代わる記念イベント「ウェブ版赤ちゃん会」を子育て応援ウェブメディア「ココハレ」に掲載しています。赤ちゃんの写真と保護者からのメッセージを紹介しています。

高知のニュース 子育て 赤ちゃん会

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