2021.10.03 08:00
小社会 醸成月
酒好きにとっては、新穀で酒をかもす「醸成月(かみなしづき)」の説も捨てがたい。さる1日は業界が定める「日本酒の日」だった。酒つぼを表す象形文字の「酉(とり)」が十二支の10番目だからだとか。10月は何かと酒に縁がある月になる。
酒のたしなみ方は人それぞれ。作詞家の故なかにし礼さんに、「暗い酒ほど美味(うま)いのだ」という随筆がある。気に入った歌ができると、冷や酒をグビリとやる。その歌が売れるか、人の心を動かし、思い出に残るかを考える時は、大勢で飲む明るい酒にはしなかったらしい。
「反芻(はんすう)のときに呑(の)む、孤独な、暗い酒ほど美味(おい)しいものを、私は知らない」。若山牧水にも〈秋の夜の酒はしづかに飲むべかりけり〉の一首がある。こんな楽しみ方ならコロナ禍の世も困りはしなかったに違いない。
高知市は先月末から、緊急事態宣言が明けた東京などでも1日から繁華街の灯が戻り始めた。ただ、一足飛びに明るい酒、とはまだいかないようだ。「第6波」は不可避とされ、行動制限の緩和を言う政府の楽観論も聞き飽きた感がある。なお警戒は怠れまい。
疫病下で2回目の醸成月。家で静かに飲む秋の酒も悪くないが、心置きなく明るい酒を飲める日も待ち遠しい。
10月3日のこよみ。
旧暦の8月27日に当たります。きのえ さる 一白 仏滅。
日の出は6時01分、日の入りは17時48分。
月の出は2時10分、月の入りは16時13分、月齢は26.1です。
潮は中潮で、満潮は高知港標準で3時19分、潮位159センチと、16時38分、潮位179センチです。
干潮は9時54分、潮位47センチと、22時30分、潮位90センチです。
10月4日のこよみ。
旧暦の8月28日に当たります。きのと とり 九紫 大安。
日の出は6時02分、日の入りは17時47分。
月の出は3時15分、月の入りは16時47分、月齢は27.1です。
潮は中潮で、満潮は高知港標準で4時08分、潮位175センチと、17時05分、潮位189センチです。
干潮は10時34分、潮位37センチと、22時59分、潮位72センチです。