2021.08.07 08:00

【コロナ対応】臨時国会を開き説明せよ

 新型コロナウイルスの感染が急拡大し、国内感染者数の累計が100万人を超えた。インド由来のデルタ株の割合が増加している。まん延防止等重点措置の地域が追加される。
 政府はこうした状況を踏まえて政策を打ち出し、国民に理解と協力を求める責任がある。ところが、その撤回や修正が続いている。これでは人々の暮らしに混乱を招き、収束への取り組みを弱めかねない。
 政策の効果が十分に期待できるのか、質疑を通して明らかにする必要がある。早期に臨時国会を召集し、説明することが求められる。
 政府は、これまで中等症以上を原則入院としてきた。だが、病床の逼迫(ひっぱく)緩和へ重症者以外は基本的に自宅療養への方針転換を打ち出した。
 病床の確保は当然だ。一般医療の制限が生じないように対応する必要もある。しかし、自宅療養をする人が増えると、急変を見逃す可能性がある。その態勢を整えるよりも、入院対象を限定して自宅療養が先走るようではあまりに荒っぽい。
 知事らから批判が出て、与党も撤回を求めた。肺炎などの中等症で酸素吸入が不要でも高リスクなら入院できると修正したが、こうした重大なことが数日で見直されるようでは、検討姿勢が疑われる。
 飲食店での酒類提供禁止を巡っても、取引金融機関から順守を働き掛けてもらう方針を示し、強い反発を受けて撤回した。酒類販売事業者への取引停止要請も取り下げた。
 菅政権内での議論不足や認識の共有の乏しさを浮き彫りにする。ワクチン接種を巡っても地方に混乱を招いてきた。政府が一貫した対応を取っているとは思えなくなる。
 立憲民主など野党4党は、憲法53条に基づく臨時国会の召集を求めている。しかし政府、与党は応じようとしない。
 衆院か参院の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は臨時国会の召集を決定しなければならない。だが期限の定めがないため、召集は政権の意向にゆだねられている。
 2017年には当時の安倍政権が召集の要求を約3カ月放置し、召集してすぐに衆院を解散した。この対応を巡る訴訟の地裁判決は分かれるが、那覇地裁は、要求を受けて召集するのは「法的義務」と認定し、対応は違憲と評価される余地はあると指摘した。
 与野党で議論を深めることが国民の理解につながる。コロナ関連の法改正や立法措置が必要となるかもしれない。閉会中審査が行われたが、立法府の行政監視は積極的であることが求められる。
 感染者急拡大に関し、菅義偉首相は「五輪が感染拡大につながっているという考え方はしていない」と述べた。一方、政府の対策分科会の尾身茂会長は「オリンピックが人々の意識(気の緩み)に与えた影響はある」との認識を示している。
 この違いは国民の不安につながっていく。政府が科学的な知見とどう向き合っているのか説明が必要だ。国会を軽視してはならない。

カテゴリー: 社説

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