2017.06.13 08:25

奇跡の笑顔 全盲・重複障害を生きる(24)井の中の蛙を痛感

全国重症児デイサービス・ネットワークシンポジウムで発表する山崎理恵さん(東京・墨田区役所庁舎内イベントホール)
全国重症児デイサービス・ネットワークシンポジウムで発表する山崎理恵さん(東京・墨田区役所庁舎内イベントホール)
■闘う同志と出会う■
 山崎理恵さん(50)=高知市=が事例発表する東京のシンポジウムは2月12日、高知県庁よりはるかに大きな19階建ての墨田区役所庁舎2階、イベントホールで開かれた。東京スカイツリーが目の前だ。
 
 関東を中心に北海道や沖縄まで約250人。人工呼吸器を着けてバギーに乗った子どもも何人かいた。外出準備の苦労を思うと、期待の大きさが分かる。切実な悩みを抱える人が多いだけに、母親4人の体験発表にはすすり泣きも聞こえた。
 
 発表者は4人とも人工呼吸器や胃ろうで命をつなぐ医療的ケア児の母で、現状では音十愛ちゃんが一番軽かった。
 
 鹿児島、和田朋子さん(47)の子は13歳。100万人に1人の難病。「長くて4カ月」と言われたが、命の闘いを乗り越え6歳まで入退院の繰り返し。今は気管切開し在宅生活だ。
 
 和田さんがNPO法人を立ち上げたのは5年前。障害児ママの集まりで、「きょうだい児の運動会に行ったことがない」「自分たちが病気になっても、子どもを預かってもらえず、病院に行くことすらできない」といった悩みが出て、解決策として和田さんが重症児デイサービス施設を開設。現在、5事業所に広げた先駆者だ。
 
 茨城県の紺野昌代さん(39)は施設オープンを半月後に、札幌市の宮本佳江さん(36)は4月に控えていた。紺野さんは子ども3人全員が難病。宮本さんも2人とも難病。人工呼吸器に頼るか、それに近い状況だ。しかも、紺野さんは2カ月前に離婚したばかりで看護師。境遇が山崎さんと重なる。「この人がやるのなら山崎さんも」と思わず納得した。
 
 東京に向かう前、「(事業者としては)私は駆けだし。みなさんは大先輩。勉強させてもらうことばかりです」と緊張していた山崎さん。終了後に感想を尋ねると、「あらためて井の中の蛙(かわず)を痛感しましたね。私レベルの人間なんて、世の中にゴロゴロいるんですよ。来て本当に良かった」とテンションが上がっていた。
 
 聞くと、既に前夜の打ち合わせ段階で意気投合、その時点で気持ちが引き締まったという。
 
 「何に驚いたかというとまず、『人工呼吸器が着いているのは当たり前でしょ。着けてた方が安全なんですよ』って言われたんです。高知だと腫れ物に触るような超重症児の呼吸器管理。施設も簡単には預れないのに、それが『普通』だったなんて。高知での『大変』は、都会ではそれほど問題じゃなかったんですね。低い次元で悩んでいたことに気付かされました」
 
 カルチャーショックとともに、「自分独りじゃないんだ」と安心したという。
 
 「4人の共通点。それは、みんな闘う女性ということだったんですね。何があってもへこたれない。打たれてもまた起き上がってくる。『本当に腹立つ!』って体験談、いっぱい聞かせてもらえましたから。やっぱり外へ出るって大事なんですね!」

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