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2024.05.18 08:00

【規正法改正】透明性確保をためらうな

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 政治資金の透明性確保をためらってはならない。小手先の対応にとどまるようでは政治不信の払拭は遠のく。真剣な対応が求められる。
 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた政治資金規正法改正案を、自民が単独で国会に提出した。公明党との主張の隔たりは埋まらなかった。
 自民案は、政党から議員に支出される政策活動費の使途を9項目に分けて開示すると規定する。政策活動費には使途の報告義務がなく、自民が党幹部に年間10億円前後を支出するなど問題視されている。
 議員側が使途の明細書を作成する公明提案の仕組みは見送った。野党は廃止や使途公開を求めている。自民も使途公開の方向へ転じたものの及び腰の印象が拭えない。資金の必要性の説明や透明性の向上に寄与するのか、議論はこれからだ。
 また、現行の「20万円超」のパーティー券購入者名の公開基準は、「10万円超」に引き下げる。しかし「5万円超」を主張する公明とはここでも折り合えなかった。野党からは全面禁止の主張が出る。自民は資金集めへの影響を懸念する声を踏まえたようだが、その線引きにこだわる意図は分かりにくい。
 政治資金を監督する第三者機関について、自民案は「活用も含めて検討」と付則に記載し、今後の課題と位置付ける。立民も政治資金の調査を担う第三者機関を唱えている。設立へ前向きな取り組みが求められ、実効性のある対応がとれるように機能を充実させる必要がある。
 岸田文雄首相は自民案について、「政治とカネの問題に対する抜本的解決策」との認識を示した。しかし、そうした自負も、公明と一致できなかったことを重ねれば首をかしげざるを得ない。裏金事件を巡る首相の指導力にも関わってくる。
 規正法は民主政治の健全な発展を図るため、政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるように政治資金の収支の公開などを行うとする。そうした理念をいかに受け止めているのかが問われている。
 還流自体は違法ではないにしても、不透明な形で資金を取り扱うことが常態化していた責任は重い。改めるべきことを曖昧にするようでは政治への信頼を失わせる。
 なぜ収支報告書に記載しなかったのか、裏金は何に使ったのか。そもそも裏金づくりはいつ始まり、やめると決めながら復活したのはなぜか。これらの解明も必要だ。
 野党も足並みはそろっていない。共同または単独で改正案を提出する構えで、終盤国会をにらんだ思惑も絡み一枚岩となりにくい。とはいえ安易な自民への譲歩は党勢に影響しかねず対決姿勢は崩していない。
 首相は今国会での成立に向け、月内の衆院通過を目指す考えとされる。自民は修正協議を想定していると伝えられる。「ザル法」とやゆされる規正法の改正をためらっていては信頼は得られない。世論は透明化や厳罰化を求めている。その思いは無視できないはずだ。

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