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2024.05.15 08:00

小社会 忘れないでね

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 20年以上前に沖縄ブームを巻き起こしたNHKの連続テレビ小説「ちゅらさん」が再放送されている。八重山諸島の小浜島で育った「えりぃ」が上京し看護師を目指す成長物語。沖縄と日本社会のありようも垣間見える。

 主題歌が流れるドラマ冒頭に小さな島が映る。小浜島だと思い込んでいたが、実は那覇市の約20キロ沖に浮かぶ無人島。島全体が米軍の射爆撃場となっていて一般人は立ち入り禁止だという。

 制作側がヘリコプターから複数の無人島を撮影した結果、この島のサイズ感が良かったそうだ。沖縄では米軍の存在を避ける方が難しい。日本の面積の0・6%でしかない沖縄に在日米軍専用施設の7割が置かれている。

 だが、1950年代初頭は現在とは全く逆。米軍基地の8割以上は日本本土にあった。主権を回復した本土で基地反対運動が盛んになると、基地は米軍統治下の沖縄へ向かった。

 「ちゅらさん」には社会問題に不用意に触れる無粋さはない。沖縄の自然や人の温かさ、命、家族の大切さを明るく描く。元気が出る。

 20年以上前の放送には記憶に残るシーンがあった。最終回の終盤。おばぁ役の故・平良とみさん(石垣島育ち)が突然、視聴者の方に向けて「沖縄を忘れないでね」と呼びかけたのだ。えりぃの誕生日が「復帰の日」である1972年5月15日なのも偶然ではないだろう。本土復帰後も沖縄の基地縮小は遅々として進んでいない。

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