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2024.05.13 06:00

三浦宏規&川平慈英、一番の「課題」は泣かないこと!? バレエ題材の感動作に涙腺ゆるみっぱなし ミュージカル「ナビレラ」インタビュー※動画連動記事

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 バレエのポーズを取る三浦宏規(左)と川平慈英

 年の離れた男性2人が、バレエを通じて心を通わせる姿を描くミュージカル「ナビレラ」が5月18日~6月8日、東京・シアタークリエで上演される。Netflixでドラマ化もされた韓国のウェブ漫画が、韓国に続いて日本でもミュージカル化。才能はあるが伸び悩んでいる若きバレエダンサー・チェロクが、70歳でバレエを始めようとするドクチュルとの出会いをきっかけに、情熱を取り戻す物語だ。


 チェロクを演じるのは、自身も幼い頃からバレエに取り組んできた三浦宏規。ドクチュルは「バレエを本格的にやるのは初めて」と言う川平慈英が演じる。2人で息を合わせて踊る美しいラストシーンに向けて稽古を続けている三浦と川平だが、一番の「課題」はどうやらバレエ以外の部分にあるようで…。


 


【目次】


 (1)一番きついのは…。


 (2)感情は全部、マジで生


 (3)「夢を追い続ける」ための原動力とは?


※インタビュー動画の情報が記事末尾にあります。



 (1)一番きついのは…。



 ▼記者 ミュージカル「ナビレラ」。三浦さん演じる若きバレエダンサー・チェロクが、川平さん演じる70歳のドクチュルと出会い、年の差を超えたバディのような関係になる物語です。



 ◆川平 そうなんです。三浦くんが僕のバレエの師匠で、僕は三浦くんのマネジャー。最初はぎくしゃくするんですけど、最後はもう、とんでもないことになります。



 ▼記者 三浦さんご自身もずっとバレエに打ち込んできた方なので、チェロクとは心情的に重なる部分も多いのでは?



 ★三浦 共感するところはたくさんあるんですが、一番きついのは、最初チェロクがドクチュルに対して「何で俺がおじいさんの先生をやらなきゃいけないんだ」と煙たがるんですね。でも、慈英さんが演じるドクチュルの温かみとか包容力とかを稽古場で感じすぎて、もう煙たがれないんです。



 ◆川平 ハハハ! 最初は「面倒くさいジジイだなあ」って態度だもんね。



 ★三浦 「面倒くさい」ってところから、いくつになっても夢に向かっているドクチュルの姿を見て、自分のバレエに対する気持ちを再認識していく、というお話なんですけど、慈英さんのドクチュルがあまりにも魅力的でチャーミングで。



 ▼記者 そんな川平さん。バレエは初めてに近いとのことですが。



 ◆川平 ジャズとかシアターダンスとかを主流にやってきたので、バレエはかじった程度です。ただ稽古初日、宏規くんの圧倒的バレエダンスを見て、ドクチュルの気持ちとちょうど重なる感じで「バレエってこんな素晴らしいものなんだ!」と感じられたのがすごく貴重でした。かつ、この話が本当によくできてる。本読み1日目から涙ボロボロですよ。スタッフもみんな泣いてるの。



 ★三浦 もちろん僕らもです。



 ◆川平 圧倒的シナリオ力と、メロディーがずるいくらいに心をわしづかみにする。主旋律とか、明るい曲なんですよ。「僕はもう少し君と踊りたい」っていう前向きなメッセージが込められてて、なのに泣けてくる。



 ★三浦 泣いて歌えなくなってるんです、慈英さん(笑)。



 ▼記者 今までにそんな経験はありましたか?



 ◆川平 ないと思うな。



 ★三浦 そうなんですか?



 ◆川平 毎回こうじゃないのよ、俺。韓国で大ヒットした理由がよく分かります。ストーリーはもちろん、心奪われる曲の数々を楽しんでいただけると思います。




 (2)感情は全部、マジで生



 ▼記者 役作りで心がけているところは?



 ★三浦 チェロクは素質はあるんだけど伸び悩んでいる若者で、ドクチュルとの出会いをきっかけに奮起する。チェロク自身も作品を通じて、技術も心も成長していくんですね。その過程をうまく見せられたらいいなと思います。



 ◆川平 僕は「老い」をどう見せていくか、演出家の桑原(裕子)さんと一緒に丁寧に作っています。僕のイメージは圧倒的に「ポジティブ」とか「陽」の方なので、新しい役作りだなと思います。フィジカルな見せ方だったり、しゃべるテンポだったり。自分でも楽しみです。



 ★三浦 ご本人はそうなんでしょうけど、僕らからしたらドクチュルそのものです。



 ▼記者 それでまた涙が出てしまう…。



 ★三浦 そうなんです。慈英さんがおっしゃってたんですけど「この舞台やってると心が浄化される」。その気持ちがよくわかります。本当にうそなく全て出し切れる。



 ◆川平 生なんですよ。もちろんせりふがあって、照明があって衣装があって、つくられた世界なんだけど、感情は全部生で、マジなんだよね。



 ▼記者 一方でバレエシーンも本格的とうかがっています。



 ◆川平 いきなり宏規くんがゴリゴリに踊るシーンがあります。



 ★三浦 「これができるミュージカル俳優は今、俺しかいない」という気持ちで、けがしないように頑張ってます。



 ▼記者 川平さんのバレエは三浦さんからご覧になって、いかがでしょうか?



 ★三浦 まだ、わざと下手にやってる場面しか見ていないので。ただ慈英さん、踊り自体はやってこられてるから、体が柔らかいんですよ。柔軟体操で僕が無理やり慈英さんの体を押すシーンがあるんですけど、押さなくても曲がっちゃうから加減が分からなくて。



 ◆川平 大丈夫だよ。ガンガン押してよ。



 ★三浦 最後、2人で踊るシーンがあるんですけど、あの流れで2人で踊るって、大丈夫かな。踊りうんぬんより、感情が…(高ぶりすぎてしまうかも)。




 (3)「夢を追い続ける」ための原動力とは?



 ▼記者 稽古場の雰囲気はいかがですか。



 ◆川平 お互いがリスペクトし合っている、いいチームです。



 ★三浦 みんなが「良い作品をつくる」という目的で一致団結してるので、稽古があっという間に終わります。



 ▼記者 疲れも感じることなく?



 ★三浦 それは疲れます(笑)。足にきます。



 ◆川平 ぶるぶるきてます。



 ▼記者 疲れを翌日に引きずらない秘訣はありますか?



 ★三浦 パッションです!



 ◆川平 Passion! 一番の栄養素だね。



 ★三浦 元気な声であいさつをする。「今日もやるぞ!」これだけです。空元気(笑)。でも、やってると勝手に体が仕上がってくるんです。



 ◆川平 空元気も元気なんだよね。



 ▼記者 お二人の存在が現場を元気にしてくれている気がします。作中では「夢を追うことの苦しさ」も一つのテーマになっていますが、お二人が苦しい思いもしつつ、ここまで夢を追いかけてこられた原動力は何でしょうか?



 ★三浦 結論から言ってしまうと「好きだから」に尽きると思います。舞台が大好きって気持ちで生きてますけど、稽古は大変だし、いろんな人からいろんな評価をされる。でも、やっぱり僕はカーテンコールの瞬間が生きてる中で一番好きなんです。拍手をもらって、お客さんの顔を見る瞬間が僕の全てだし、知ってしまったら抜け出せない、そんな気持ち。それが原動力です。



 ◆川平 ほんとにね。もう嫌だな~きついな~、何でこの職業選んだんだろうな、って思うことは多々ありますけど。自分という人間が少しでも人を豊かに、ハッピーにさせてる実感がある。その時のカタルシスを知ってるだけに、また求めてしまう。そしてオファーを頂くことで、自分がそれを実現できる場を与えてもらっているという尊さも感じる。それが朝起きたときに「オーケー、今日も稽古行くぜ!」って自分を押せるエネルギーになると思います。



 ★三浦 僕、慈英さんみたいになりたいです。



 ◆川平 楽しいよ、60代。もがいてあがいてここまで来たらね。



 ★三浦 目指して頑張ります。



※お二人のインタビュー動画をYouTubeチャンネル「うるおうリコメンド」でご覧になれます。「うるりこ」で検索を。



 【みうら・ひろき】1999年生まれ、三重県出身。5歳でクラシックバレエを始める。ミュージカル「のだめカンタービレ」千秋真一役、舞台「千と千尋の神隠し」ハク役などで活躍。



 【かびら・じえい】1962年生まれ、沖縄県出身。ミュージカル俳優として活動しながら、ドラマや映画にも出演。サッカー好きで知られ、スポーツキャスターの顔も持つ。



 ※ミュージカル「ナビレラ」は5月18日~6月8日、東京・日比谷のシアタークリエで。



(取材・文=共同通信 高田麻美 撮影=佐藤まりえ)

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