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2024.05.08 06:00

舘ひろし&柴田恭兵が“娘”土屋太鳳を絶賛!70歳を超えた2人の華麗なアクションにも注目 映画「帰ってきた あぶない刑事」キャストインタビュー

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 “娘”役の土屋太鳳(中央)と腕を組む舘ひろし(左)、柴田恭兵

 あの最強バディが帰ってくる―。大ヒットシリーズ「あぶない刑事」の約8年ぶりとなる劇場最新作「帰ってきた あぶない刑事」が5月24日に公開される。


 横浜を舞台に、スタイリッシュで型破りな2人の刑事、鷹山敏樹(タカ、舘ひろし)と大下勇次(ユージ、柴田恭兵)の活躍をアクション満載で描き、1986~2016年にかけて連続ドラマ2作、映画7本が世に送り出された人気作。今回は定年退職後、海外生活を経て横浜に「帰ってきた」タカとユージが、共同で探偵事務所を構えたところから物語が始まる。記念すべき最初の依頼人・永峰彩夏(土屋太鳳)は、ひょっとすると「タカとユージ、どちらかの娘かもしれない」という女性で…。


 8年のブランクを感じさせない軽やかさでタカ&ユージを演じた舘と柴田、さらに2人の“娘”を好演した土屋の3人が、和気あいあいの撮影現場を振り返った。



【目次】


 (1)“娘”の登場に期待


 (2)台本はあってないもの


 (3)ハーレーは「自転車と同じ」


 (4)「ハードボイルド」を意識


 (5)お互いをリスペクト




 (1)“娘”の登場に期待



 ▼記者 待望の「タカ&ユージ」が帰ってきました。舘さん、柴田さんは新作が決まったと聞いて、どんなお気持ちでしたか。



 ★舘 前作の「さらば あぶない刑事」で終わったと思ってたので、もう一回、恭さまと仕事ができるのがうれしかったです。



 ◆柴田 僕は「もういいでしょう」って言ったんですけど、今回は“娘”が出てくると聞いて「これは面白そうだぞ」と。タカとユージはあんまりプライベートなことを出してないので、そういうお芝居ができるのは楽しみだなと思いました。



 ▼記者 そんなタカとユージの“娘”を演じたのが土屋さんです。



 ●土屋 お話をいただいた時から「何としてもやりたい!」と熱望していました。昔、私が役作りで悩んでいた時に、母に「あぶない刑事を見てみたら? ユーモアと面白さと格好良さ、いろんな要素が入ってうまく作られているから」って薦められて、いくつか拝見していたので、その世界に入れるのがうれしかったです。ただ、レジェンドすぎる方々なので、撮影に入るまではどきどきしていました。



 ▼記者 実際に入ってみて、いかがでしたか?



 ●土屋 最高でした! 現場で感じたのは「スター」と「俳優部の一員」って両立するんだな、ということです。お二人とも「こうしたほうがいいんじゃないか」というのを話すだけじゃなくて、実際に形にしていく作業をスタッフさんと一緒に、お互い尊重し合いながらやっていらして、かつ「スターだな~」という感じもあって。



 ▼記者 現場のいい雰囲気が伝わってきます。



 ●土屋 お二人とも「心づくり」がお上手なんですよね。「もの」ではなくて、現場のスタッフさん方の心をつくって、育てていく。そういう作業が上手で、家族みたいな雰囲気をつくってくれるので、出来上がった作品も自然と良いものになるんだと思います。



 (2)台本はあってないもの



 ▼記者 お二人のアイデアで演出が決まることも多いそうですね。



 ★舘 台本はあってないようなものだからね。恭さまは。



 ◆柴田 アドリブというか、台本の段階で「ここをこうしたら面白いかな」ってところを何カ所か見つけて「舘さんちょっと付き合って」と。昔は舘さん、全然できなかったんですけど、それもいい味で。今はもう完璧です。



 ▼記者 今回でいうと、どんなシーンでしょう?



 ★舘 2人のところはほとんどそうじゃない? 恭さまに「(舘さん)こう言ってください、僕はこう言いますから」って言われて「分かりました」って。



 ●土屋 なかなかないと思います、こんな作り方させてもらえるのって。役者陣もアイデアを出すのが大切だなと思いました。



 ★舘 今はそういうの許されないのかな。



 ●土屋 ないですね。あったとしても「(台本との)真ん中をとる」とか。後は本当にアドリブで「いちかばちかやる」ことはありますけど、今回みたいに「台本にない流れを、事前にちゃんと打ち合わせてやる」というのは初めてで、面白かったです。



 ◆柴田 ただ「あぶ刑事」って「鷹山=舘さん」なんです。舘さんはとってもダンディで、それだけで鷹山なので、何してもオッケー。大下は大下でいいかげんなので、たとえ台本があっても自分がやりたいことを大事にする方がユージらしくなる。



 ★舘 建物で言うと僕が土台なんですね。その上でデザインをしてくれるのが柴田恭兵。僕は土台さえ揺るがないようにしていればいい。初期の「あぶ刑事」を撮った長谷部(安春)監督が求めてたのがそういう形でした。


 最初は僕も若かったんで、恭さまの軽いお芝居に憧れて一緒にやるんですけど、監督が「舘さんはやめてください」って言うんですよ。その時は「俺が下手だからかな」って落ち込んだんですけど、映画第1作の公開日に「舘さんでこの作品は撮ってる」と言ってくれて。僕が土台だから、ズレたら全部ズレちゃうという意味だったんです。



 ◆柴田 座長なんですよ。



 ★舘 いやいや。ダチョウくらいで。



 ◆柴田 舘さんがどんと構えて、僕らが跳ねやすいようにしてくれる。その跳ねたのを面白がってくれる人もいます。



 ●土屋 でも舘さん、揺らいでる時ありました。面白すぎて笑っちゃうの。



 ★舘 それは常にそう(笑)。NGを何度出したか。(笑いそうで)もう「あぶない」という時は、昔はカメラ1台だったから後ろ向いちゃって、でも背中が笑ってる、みたいなこともありました。そのくらい面白かった。ベンさま(ベンガル)も中条(静雄)さんも、みんな最高でした。



 (3)ハーレーは「自転車と同じ」



 ▼記者 今作も「あぶ刑事」名物のド派手なアクションは健在。舘さんがハーレー、柴田さんはレパードを運転し、土屋さんも大立ち回りを演じています。特に大変だったシーンはどこですか?



 ★舘 僕はいつも通りオートバイに乗ってバンバン(銃を)撃つんですけど、それ自体は自転車と同じなんで大したことはないんです。ただ今回は煙の中からバイクで現れるシーンがあって、僕のアイデアだったんですけど、真っ白い煙の中に突っ込んで、抜けたらすぐ正面にカメラがあるという状態だったので、実際にやる時は不安でした。前も何も見えない。



 ▼記者 それは怖い!



 ★舘 1回目は僕としては成功だったんですけど、何せ前が見えないのでバイクがフレームの真ん中からズレてしまって。監督は撮り直したいと言うんですが、僕は「うまくいかないと思いますよ」と。ああいうのは一発勝負なんです。僕らは石原プロで育ってるので、何度もやったら事故になるって骨身に染みてる。結局、2回目は風で煙がカメラに近くなりすぎて駄目でしたね。



 ◆柴田 今回の舘さんのバイクアクションは、今までで一番、格好良かった。「待ってました!」「千両役者!」って拍手を送りたいくらい。



 ▼記者 柴田さんも走って、落ちて、投げ飛ばされて…と、かなり体を張っていました。



 ◆柴田 昔「70過ぎてあぶ刑事を撮りたい」と言ったことがあるんです。年を取ればそれなりのアクションでいいだろうと思ったからなんですけど、実際はしっかり痛めつけられました(笑)。


 今回、作中に「僕は横浜の街を一番走った刑事だ」ってせりふが出てくるんですが、そこで回想として、僕が覚えてる中で一番速く走ったシーンの映像を使ってほしいと監督にお願いしたんです。舘さんは「横浜で一番拳銃を撃った刑事だ」というところで、初期の発砲シーンを。それと、今70歳過ぎても同じことやってますよ、という対比を見せられたのが良かったです。



 ▼記者 8年ぶりに横浜で撮影して、街の変化などは感じましたか?



 ★舘 「さらば―」の時は市の撮影許可が下りなくて、市街地で撮れなかったんですよ。なので企業の敷地をお借りしたんですけど、今回は街全体を使えて良かったです。



 ◆柴田 元町とか中華街とか、いろんな所で撮影させていただいたんですけど、僕は路地裏を走るシーンが多いので「この路地も走ったな」とか「運河沿いも走ったな」とか、記憶がよみがえりました。確かに整備されて美しくなりましたけど、そういう昔ながらの景観は残っている。隅々まで知り尽くした、僕の大切な街です。



 (4)「ハードボイルド」を意識



 ▼記者 土屋さん演じる彩夏は、タカとユージの雰囲気に完璧になじんでいましたね。



 ●土屋 「ハードボイルド」って言葉は今あまり使う機会がないですけど、彩夏を演じる上ではそれを意識したいなと思って。80年代の作品を見て、女優さんがこう、大人っぽく髪をかき上げるんですけど、まとっている空気はすごく健康的でピュア、みたいな感じを目指して、今回はかなり形から入りました。



 ▼記者 彩夏の存在によって、タカとユージの新しい一面も引き出されています。



 ◆柴田 そうですね。序盤で彩夏がバイクをいじってるとタカがやってくるシーン、あの時のタカの顔は今まで見たことがないです。いとおしい娘を見るような、優しいまなざし。



 ★舘 そう? 僕は子どもがいないから「娘」にどう接したらいいのか全然分からなくて。



 ●土屋 舘さんはドーナツを差し入れてくださるので、それでもう大好きになりました。



 ▼記者 お二人から見て“娘”としての土屋さんの演技はいかがでしたか。



 ◆柴田 根っこがしっかりした役作りをしてこられて、すてきだなと思いましたね。ハーレー乗ってると「タカの娘かな」って感じがするし、キレのいい動きがあると「ユージの娘かな」って思うし。絶妙でした。



 ●土屋 運動神経あって良かったです! でも、ユージと走るシーンの時、私は普段から走っているので「どれくらいのスピードにしようかな」と思ってたんですけど。



 ◆柴田 気を使ってくれたのね。



 ●土屋 「息を合わせて走らないと」と思ったので、テストの時に隣の様子をうかがいながらスタートしたら、ユージがすごいスピードで飛び出していって、追いつこうとしても距離が縮まらなかったんです。それで走り終わったら恭兵さんが一言「遅いと思ったでしょ」って。


 「普段、運動されてるんですか?」って聞いたら「あんまり好きじゃない」って言うんです。改めて、こんなに年齢を感じさせない方々がいるんだ、と驚きました。私は今29歳ですけど、40年後にこれだけ走れるなんて想像もできないです。



 (5)お互いをリスペクト



 ▼記者 次回作もこの3人で探偵事務所をやるとしたら、どんな事件を追いかけたいですか?



 ★舘 その前に薫(浅野温子)が怒鳴り込んでくるよ。薫と彩夏の戦いになって、彩夏が負けちゃうかも。



 ●土屋 負けないように頑張ります。浅野さんはすごくパワフルで、格好いい方でした。



 ▼記者 浅野さんや仲村トオルさんも欠かせないメンバーですね。



 ★舘 恭さまと2人だけでも「あぶ刑事」なんだけど、オンコ(浅野)とトオルがいれば最強になりますね。



 ◆柴田 テレビ版のスタート以来、プライベートで4人集まって食事に行こうとか、そういう交流がほとんどないんです。だからこそ現場でお互いの顔を見ると、すぐ「タカとユージ、トオル、薫」に戻れて、何年たってもそのまま。良い距離感でやってこられたと思います。



 ▼記者 土屋さんから見て「タカとユージ、ここが格好良い」と思うところは?



 ●土屋 アクションの中に面白さがあるところです。格好良いのは大前提で、さらに人間味があるというか。戦いの中にも余裕を感じます。



 ▼記者 舘さんと柴田さんに。40年近く「タカ&ユージ」として、変わらず格好良くあり続けるために心がけていることはありますか。



 ◆柴田 タカとユージはもう出来上がっていて、そのまま年を取っていくだけなので、いまさら何かしようということはないです。タカは舘さんだし、ユージは僕以外の何物でもない。



 ★舘 お互いに対するリスペクトがあるからそうなってるんじゃないかな。僕の不得意なところは恭さまが知ってて、困ってると必ず助けてくれる。そういう2人の中でしか分からないことの積み重ねが「タカ&ユージ」かなって思います。




 【たち・ひろし】1950年生まれ、名古屋市出身。ドラマ「西部警察」などでアクションスターとして活躍。「パパとムスメの7日間」などのコミカルな演技にも定評がある。



 【しばた・きょうへい】1951年生まれ、静岡県出身。会社員を経て75年に俳優デビュー。ドラマ「はみだし刑事情熱系」「ハゲタカ」、映画「半落ち」など出演作多数。



 【つちや・たお】1995年生まれ、東京都出身。2015年のNHK連続テレビ小説「まれ」でヒロインを務める。ネットフリックス「今際の国のアリス」ではアクションも披露。



 ※映画「帰ってきた あぶない刑事」は5月24日全国公開。



 (取材・文=共同通信 高田麻美 撮影=佐藤まりえ)

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