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高知新聞PLUSの活用法

2024.05.08 05:00

【SNS投資詐欺】実効性ある対策を急げ

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 交流サイト(SNS)で投資家や著名人をかたって投資に勧誘し、金銭をだまし取る詐欺被害が拡大している。
 物価高の中、少しでも資産を増やしたいと期待した人もいただろう。そんな思いにつけ込んだ詐欺犯が許されないのは当然だが、SNSの運営会社も社会的な責任を自覚し、対策に力を注がなければならない。
 特徴的な手口はこうだ。著名人をかたる広告などを通じ、被害者と接触する。その後、LINE(ライン)グループなどに招待して投資を勧め、利益が出ていると見せかけて手数料などを要求する。
 警察庁によると、2023年の認知件数は2271件、被害額は約277億円に上った。1月は85件、被害額は約8億円だったが、12月は369件、約53億円に急増している。
 高齢者を狙ったこれまでの特殊詐欺に比べ、被害者の年齢層は広い。全体の7割を40~60代が占める。近年の投資ブームで、ネットで手軽に投資できるようになったことが被害増加の背景にあるとみられる。
 県内でも、今年に入り特殊詐欺の被害額が3月末までに2億5千万円を超え、そのほとんどがSNS型投資詐欺だという。1件で1億円を超す被害も出ており、深刻な状況だ。
 警察庁は海外を拠点とする犯罪グループが関与しているとみている。海外の捜査機関とも連携しながら、摘発や手口の全容解明を急いでもらいたい。
 被害を防ぐには、詐欺の入り口に当たる偽広告の配信を止めることが欠かせない。だが、運営会社の対応は鈍いと言える。
 偽広告が出回っている問題を受け、フェイスブックやインスタグラムを運営する米メタは先月、「社会全体でのアプローチが必要だ」とする声明を発表した。さらに「オンライン詐欺は社会全体の脅威」としながらも、「世界中の膨大な数の広告を審査することには課題も伴う」と釈明した。
 責任逃れともとられかねない声明には反発も出ている。当事者意識に欠けており、批判を受けるのはもっともだ。
 メタの日本法人を相手取った訴訟も起きている。広告の内容が真実かどうかの調査を怠ったとして、神戸市や東京都などの被害者4人が計約2300万円の損害賠償を求めて神戸地裁に提訴した。
 運営会社として批判を真摯(しんし)に受け止め、早急に実効性のある対策をとるべきだ。
 政府にも強い態度で臨んでもらいたい。6月をめどにSNS型投資詐欺などに対応する総合的な犯罪対策プランを策定するという。偽広告の削除を運営会社に義務づけるといった規制も必要ではないか。
 私たち利用者も危機意識を高めたい。高知県警によると、毎回違う個人口座に振り込ませたり、指定された口座の名義が外国人だったりと、手口には怪しいところがあるという。おかしいと感じたら誰かに相談するようにしたい。

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