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2024.05.06 09:53

香り立つ若葉 入道(津野町)―土佐鳥瞰紀行(114)

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 青々と育った一番茶の収穫が進む。津野町と中土佐町大野見地域の境、標高500メートルの尾根に10ヘクタールの茶畑が広がっている。江戸時代後期、津野山郷の山茶は「六蔵茶」と呼ばれ「土佐の三大銘茶」に数えられた。

 訪れた日は薄曇りの空。風景としては青空に新茶の緑が映えるのだが、茶葉は日光による高温や乾燥で傷みやすいため、茶摘みには曇りのほうが良いという。

 斜面で刈り取りをしていたのは野本拓路さん(76)、礼子さん(64)夫婦。「今年は雨が続いたき、今のうちに刈らんといかんね」。息を合わせ、巨大なバリカンのような茶摘み機を操る。茶葉で膨らんだ収穫袋をサンタクロースのように抱えてはトラックへ。

 茶の山を開いて40年。「子やらい、親やらい、茶やらい。目が回る毎日やった」と振り返る。3人の子どもたちは巣立ち、ほっと一息という。「お茶の木も自分たちも年を取ったねえ」といとおしそうに畑を眺める。

 山肌に優しい風が吹いた。茶畑に甘い若葉の香りが立った。(佐藤邦昭)

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