2024年 05月10日(金)

現在
6時間後

こんにちはゲスト様

高知新聞PLUSの活用法

2024.04.28 05:00

【高知県観光】新戦略磨き勢い継続を

SHARE

 大型連休が始まった。県内各地の人気スポットも大勢の来訪が見込まれることだろう。
 土佐観光は、NHK連続テレビ小説「らんまん」効果などでコロナ禍からV字回復し、勢いがある。人口減少が各地で影を落とす中、地域の持続可能性を高める手段としても比重が増す。今春からは新しい観光キャンペーンも始まった。官民挙げて勢いを維持していきたい。
 「らんまん」放送を受けて県は、草花に関連した観光キャンペーン「牧野博士の新休日」を企画するなど、経済効果の最大化に努めた。その成果もあったのだろう。2023年に高知を訪れた県外観光客は472万人、総消費額は1290億円で、いずれも過去最高となった。
 ただ、ドラマはあくまでも期間限定の特別な要素だ。幸運にも、やなせたかしさん夫妻をモデルにしたNHK朝ドラ「あんぱん」の来春放送開始が決まっているが、それが終われば反動も起こりうる。平時の取り組みの磨き上げが欠かせない。
 そうした中、県が新たに掲げたのが「どっぷり高知旅」と題したキャンペーンだ。「極上の田舎、高知」をコンセプトに、向こう4年にわたって展開する。
 キャンペーンは「長期滞在」「中山間地域」をキーワードにする。住民との触れあいや伝統行事への参加、集落活動センターの活用など「田舎の良さ」を、長く、深く味わってもらうことを掲げる。
 高知県の観光客は、日帰りと1泊2日で全体の約7割を占める。滞在期間の短さが課題になっており、交流が深まった観光客はリピーターにもなり得る。新キャンペーンの狙いは土佐観光の現実に沿う。
 だが、地域住民の協力や受け入れ施設の確保、移動手段の手配などが不可欠で、その仕組みづくりはこれからの地域が多いのが実情だろう。官民の連携、役割分担が機能しなければ県外客も戸惑うことになる。
 「牧野博士の新休日」を巡っては、取り組みを通じた人材育成やノウハウ蓄積なども期待された。地域ごとに成果と課題が出たに違いない。その検証が重要だ。これから検討される「あんぱん」関連のイベントも、一過性の「打ち上げ花火」に終わらせない視点が求められる。
 昨年、観光客が最多になった要因には、高知と台湾を結ぶ定期チャーター便の就航や、過去最多のクルーズ船の寄港もあった。後れをとっていたインバウンド(訪日客)にも前進がみられた。
 このうち台湾チャーター便の搭乗率は好調に推移し、10月までの延長も決定済みだ。国際観光の拡大には相手国・地域のニーズに応じた商品開発、高知龍馬空港の新ターミナルビルを含めた受け入れ体制の整備が重要になる。着実に進めたい。
 本県観光は、「自然」を前面に打ち出した集客が多い一方、道路事情などが十分でない場合がある。環境や住民生活に過剰な負荷がかかる、いわゆる「オーバーツーリズム」に留意していくことも必要だ。

高知のニュース 社説

注目の記事

アクセスランキング

  • 24時間

  • 1週間

  • 1ヶ月