2024年 05月02日(木)

現在
6時間後

こんにちはゲスト様

2024.04.19 08:00

【震度6弱地震】当面は最大限の警戒を

SHARE

 深夜、スマートフォンが知らせる緊急地震速報の警報音と大きな揺れに、南海トラフ地震がよぎった県民も多かったのではないか。
 17日午後11時14分ごろ、高知、愛媛両県で最大震度6弱の地震が発生した。四国で6弱を観測したのは、現在の震度階級が導入された1996年10月以降初めて。県内でも最大6弱の宿毛市をはじめ、県西部を中心に強い揺れに見舞われた。
 宿毛市では建物の屋根瓦や天井、橋の崩落、水道管の破損などの被害が出ている。梼原町では5世帯10人が一時孤立した。休校やJRの運休といった影響も出た。
 本県や愛媛、大分両県ではけが人も出たが、津波はなく、揺れの大きさの割には命に関わる人的被害が確認されていないことに安堵(あんど)する。被災した地域の復旧を急ぎたい。
 震源地は豊後水道で、震源の深さは39キロ。地震の規模はマグニチュード(M)6・6と推定される。
 震源付近では小規模な地震が続いており、気象庁は今後1週間ほど、同程度の地震への注意を呼び掛けている。揺れが大きかった地域では地盤が緩み、建物が傷んでいる恐れがある。当面は降雨も含め、最大限の警戒が必要になる。
 県民誰もが気になるのは南海トラフ巨大地震との関連になろう。
 気象庁は、巨大地震はプレートの境界で発生するが、今回はフィリピン海プレート内部で発生。メカニズムが異なると説明する。震源も巨大地震が起こるプレート境界より約10キロ深かった。このため今回の地震で「直接、巨大地震発生の可能性が高まったとは言えない」としている。
 ただ裏を返せば、「南海トラフ」に直接はつながらないとしても、強い地震には常に警戒が必要ということだろう。阪神大震災以降の日本列島は、地震の活動期に入ったといわれる。新潟県中越地震や東日本大震災、熊本地震などが相次ぎ、ことしも能登半島地震が起きた。
 震災が発生するたびに、本県でも考えるべき教訓は増えている。
 阪神などに続き、能登半島でも古い住宅の倒壊とそれに伴う犠牲者の多さが際立った。地方、特に郡部は人口減少や高齢化が進み、住宅の耐震化が遅れている現実がある。
 高知県内の耐震化率は88%で、2008年度の70%からは一定進んだ印象もある。しかし、県は耐震改修促進計画で25年度の達成目標を93%としており、今後も積極的な促進が求められる。
 南海トラフ地震では、最大で震度6強から7に達する揺れが数分間続くとされる。まず揺れをしのぐ耐震化は、東日本大震災の教訓である津波からの避難にも直結しよう。
 このほか、能登半島地震で初期対応を困難にした交通網の寸断は、道路網が脆弱(ぜいじゃく)な本県も人ごとではない。台湾東部沖地震では、被災者のプライバシー保護やストレス低減に配慮した避難所運営が注目された。備えておくべき課題は多い。
 当面の警戒と同時に、「南海トラフ」への意識も高めておきたい。

高知のニュース 社説

注目の記事

アクセスランキング

  • 24時間

  • 1週間

  • 1ヶ月