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2024.04.08 08:38

遠い父の背中追う 畳職人 中谷龍太朗さん(33)香南市―ただ今修業中

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「繊細かつ力のいる仕事」と、畳を担ぐ中谷龍太朗さん(香南市野市町中ノ村)

「繊細かつ力のいる仕事」と、畳を担ぐ中谷龍太朗さん(香南市野市町中ノ村)

 イ草の香りが鼻をすーっと吹き抜ける。小さな工房に、父子が背中合わせに立つ。ぎーとと、ぎーとと。だだだだ、だだだだ。小気味よい機械の音が混じり合う。父が寸法を測って裁断して整えた畳に、息子がミシンでへりを縫い付けていく。

 つるんと光る畳をなで、「近くてまだまだ遠い」父の背に目をやる。香南市で1軒残る畳店。2代目の誠一さん(60)の下で昨春から修業を始めた。

 ◆

 「いつか継ぐんだろうな」。小さい頃、ぼんやり感じていた。工房は遊び場。畳を作る祖父母のそばで、畳表の切れ端を集め回っていた。

 中学生になると、自然に手伝いを始めたが、稲わらを重ねた古い畳は1枚で重さ30キロ。きゃしゃな体にはこたえた。「こんなしんどい仕事をせないかんがかと、嫌になった」

 華やかな世界に憧れ、専門学校卒業後は東京に出た。美容師や靴メーカーの販売として流行を追いかける日々は楽しかった。電話をすれば父はいつも「自分の好きなことやりや」と言った。後継ぎがおらず、…

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