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2024.04.07 05:00

小社会 ピンポン外交

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 ピンポン外交と聞くと、なぜか映画「フォレスト・ガンプ/一期一会」を思い出す。1950年代からの米国の激動史。純粋な心を持つ主人公が、歴史的な事件に次々に顔を出す。一時は卓球の名選手にもなっていた。

 そのピンポン外交は、53年前のきょう7日に始まっている。世界選手権で名古屋を訪れていた中国選手団が、米国チームの訪中受け入れを発表した。冷戦下の世界はあっと驚いた。

 きっかけは偶然と小さな勇気だという。中国選手団のバスに、1人の米国選手が間違って飛び乗ってきた。米国人と接触すれば処罰の対象。緊張が走る。歩み出たのは世界を3度制した荘則棟選手。「米国人民は中国の友人だ」。山水を描いた錦の織物を手渡した。

 荘さんは周恩来首相の「友好第一、試合第二」という言葉を思い出した、と後年の本紙にある。むろん、きれいごとだけではあるまい。ソ連との対立激化で、中国はひそかに米国との雪解けを望んでいた背景もあったようだ。

 時代も国力も違うが、今の中国政府の振る舞いや懐の深さはどうなのだろう。台湾東部沖地震でも、国連の会合で各国からの見舞いに謝意を表明。台湾側は、震災を利用した「一つの中国」のアピールと強く反発した。周辺に与える覇権主義的な脅威はとめどない。

 米国が絡むガザ戦闘もきょうで半年になる。激動を経てきたはずの国際政治は進化したのか、退化したのか。心配になる。

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