2024.04.05 08:00
小社会 よみがえる
カエルといえば、話題の流行語に「蛙化(かえるか)現象」がある。好きな人に急に嫌悪感を抱く現象という。昨年の本紙に中学生の体験談が載っていた。「付き合い始めた日に彼氏が手をつなぎたがってきて、一気に冷めた」。
グリム童話「かえるの王さま」に由来するようだ。王女が嫌うカエルが実は魔法を掛けられた王子で、魔法が解けた途端2人は相思相愛に。ハッピーエンドだが、気持ちが一転することから、心理学者が「蛙化」と名付けた。
初めは期待していたのに興ざめ―。こちらはそんな表れか。岸田政権。2年半前に就任し、一時は支持率が60%に上ったが、いまや20%台に沈む。無理もないだろう。政策に説明不足が目立つ上、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件も国民の目が非常に厳しい。
きのう事件の関係議員の処分が決まった。「離党勧告」や「党員資格停止」などの重い処分を下したが、肝心の事件の真相は見えないままだ。これで幕引きにするなら、民心は一層離れてしまうのでは。
処分には党内から反発も出ている。岸田首相はどう手打ちをするのか。自民党では過去、不祥事で重い処分を受けて離党した議員が、2年余りで復党した例がある。「よみがえる」化現象。まさか今回もあるのだろうか。