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2024.03.29 08:00

小社会 麹菌の力

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 県内でも盛んな日本酒造りは昔から「一麹(こうじ)、二酛(もと)、三造り」といわれる。工程の重要度を表していて、肝はなんといっても麹という。
 
 ここでいう麹は蒸した米にカビの一種、麹菌を繁殖させたもの。酒の原料である米のでんぷんを糖に変える作用があり、酛をなす酵母がその糖からアルコールを生み出す。世界を見ても特殊で高度な発酵技術だと、国税庁が動画を制作して世界に発信している。
 
 興味深いのは、まだ科学的な知識がなかった大昔の祖先が麹菌の作用を「人の力の及ばない神の力」と考えた点。日本で「酒と神事が深いつながりを持つ理由の一つ」だと動画は紹介する。
 
 麹菌はみそやしょうゆの製造などにも使われる。麹菌もいろいろな種類があり、人体に有害なカビ毒を作るものも少なくないが、祖先が伝統的に使ってきた麹菌はその機能を失ったタイプだったとか。これもある意味、神秘的な話といえるのかもしれない。
 
 いまは科学も進んだのに、どうしたのだろうか。麹菌の一つ、紅麹菌を巡る騒動。小林製薬の紅麹サプリメントを摂取して健康被害を訴える人が続出している。死亡例もあるという。未知の毒なのか、あるいは製造過程で異物が混入したのか。理由ははっきりしないらしい。
 
 影響は他の食品会社にも広がっている。原因を「神のみぞ知る」にされてはたまらない。一刻も早い究明を。祖先が見いだしてきた麹菌の名誉のためにも。

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