2024年 04月27日(土)

現在
6時間後

こんにちはゲスト様

高知新聞PLUSの活用法

2024.03.28 05:00

【大谷選手元通訳】賭博の全容解明が不可欠

SHARE

 違法賭博疑惑の衝撃は大きい。野球に集中できる環境を取り戻すには全容の解明が不可欠だ。
 米大リーグ、ドジャースの大谷翔平選手は、通訳を務めた水原一平氏の違法賭博問題に関し、自身の関与を否定した。
 スポーツ専門局ESPNなどの報道によると、水原氏は捜査対象の違法ブックメーカー(賭け屋)に借金があり、大谷選手の口座から少なくとも450万ドル(約6億8千万円)が送金された。水原氏はギャンブル依存症を告白したという。
 これに対し大谷選手は、賭博問題や巨額の借金は韓国での開幕戦後に初めて知ったとする。水原氏はESPNの取材に、大谷選手が借金の肩代わりに応じたと証言したが、その後に撤回している。また水原氏は大谷選手の代理人には「友人の借金」であり、大谷選手が肩代わりしたと説明していたが、大谷選手は「うそ」と繰り返した。
 水原氏は大谷選手がプロ野球日本ハムに入団した2013年から球団職員として勤務し、18年のエンゼルス移籍後は専属通訳となった。首脳陣との橋渡しや取材時の対応だけでなく、練習ではキャッチボールの相手にもなった。
 移動の際の運転手を務めるなど、行動を共にする様子がよく伝えられた。オールスター戦前日の本塁打競争で水原氏が捕手役を務めたこともある。大谷選手は、信頼していた人の過ちであり、ショックという言葉ではうまく言い表せない感覚で過ごしてきたと語った。
 2人の関係性を示すエピソードは多い。だが、それだけに厳しいまなざしを向けられかねない。
 米国ではオンラインのスポーツ賭博が急拡大し、州によっては税収増をもくろみ合法化へと動いている。ファン開拓や市場拡大にも不可欠との見方がある。一方で、違法賭博への関与や依存症、選手が八百長に巻き込まれる懸念も大きい。
 大谷選手は、声明を発表する形にとどめ、調査が進行中で話せることは限りがあるとして質疑応答には応じなかった。想像した以上に説明したとの見方もあるが、まだ疑問は残っている。
 指摘されるように、水原氏がなぜ大谷選手の口座に勝手にアクセスして送金できたのかは関心事だ。巨額の資金流出や、一緒にいながらギャンブル依存症に気づかなかったのかと首をひねる人もいる。
 実態解明は当局や税を所管する内国歳入庁の捜査に委ねられる。大谷選手は、当局の調べに全面的に協力すると述べている。プレーに集中できる環境を取り戻すには解明が欠かせない。そのための十分な対応が必要なのは言うまでもない。
 メジャー7年目となる今季は打者に専念するが、独自のプレースタイルとスポーツ史に残る巨額契約で注目されるのは当然だ。日本や地元からは好意的な見方をされても、応援するチームが異なれば厳しい反応が想定される。その面からも疑惑の早期の解決が求められる。

高知のニュース 社説

注目の記事

アクセスランキング

  • 24時間

  • 1週間

  • 1ヶ月