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高知新聞PLUSの活用法

2024.03.28 05:00

小社会 人間だって

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 デジタル業界では「呪文」と呼ぶらしい。英語のprompt。受験時代の記憶をたどれば、素早い、という意味だったような。人間がAI(人工知能)に「指示」することを言う。確かに、辞書にはその意味が後ろに出ている。

 猛烈なスピードで進化するAI。コロナ禍でも活躍し、中国では監視カメラとともに人々の表情を探って発症者の発見につなげたと伝わる。筆者も過日のセミナーで、県内企業の決算記事をものの数秒で仕上げるさまを見せつけられた。呪文、おそるべし。

 そういえば、パソコンソフトの利用法を対話式で習う仕組みはウィザード(魔法使い)と言う。魔法に呪文…。この手の新技術にはなぜか、メルヘンチックな名が好まれる。人知の神秘に迫りつつある自覚が開発者にもあるのだろうか。

 人類が積み上げた膨大なデータを瞬時に分析し、あり得る未来を予測する。少子高齢社会ではこの助けがないと乗り切れないという識者は多い。ただ、懸念もある。

 過去を調べ尽くす冷徹な力で、個人の仕分けをやりすぎるとどうなるか。採用や与信の判断に加え、米国では犯罪者の予測に使われるといい、「排除や差別が問題になっている」(山本龍彦編著「AIと憲法」)。判断材料の一つは、近年目が離せなくなった端末の履歴だろう。

 間もなく新年度。いやいや、人間だって育つし、そんなに単純じゃない。そんな心躍る場面にいくつ出合えるか。

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