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2024.03.24 08:00

小社会 桜と暴れん坊将軍

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 庶民に花見の習慣が広がったのは江戸時代だという。江戸の町でいえば桜の名所は隅田川の堤、飛鳥山、御殿山。これらの植栽を進めたのは8代将軍、徳川吉宗とされる。そう、テレビの時代劇でいう「暴れん坊将軍」である。

 享保の改革で質素倹約を掲げる一方、庶民に健全な娯楽の場を提供したという説がある。いわば、ガス抜きだったのかも。例えば、飛鳥山では「今より後、諸人(もろびと)が、躬(み)の山を遊楽の地とせよ」と述べた(有岡利幸著「桜Ⅰ」)。

 桜の植樹を治水に役立てたともいわれる。玉川上水の両岸に植えた桜について、同著では「花見に訪れる人びとが、堤を踏み固めることをも考慮に入っていたのであろう」。さすがは暴れん坊将軍の行動力と言うべきか。

 きのう高知城のソメイヨシノの開花が発表された。全国トップは6年ぶり。予想日はもっと早く、気を持たせておいて寒い日が続いた。開花の判断も夕刻になってから。報道陣も気象台も「あと1輪開けば」と粘ったようだ。

 春本番を迎えるが、浮かれた気分になれないのは政治の現状だろうか。自民党の裏金事件。派閥幹部の口はなかなか開かず、実態解明は程遠いのに処分を急いでいるかに映る。「桜を見る会」や森友問題のように真相をうやむやにしたままの幕引きは許されまい。

 吉宗は、民の声を聞こうと「目安箱」も設けた。政治はもっと民の批判や不満に敏感であれ、と思う春でもある。

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