2024.03.20 08:00
小社会 サラリーマンはつらいよ
小欄もサラリーマンだ。さまざまな「つらさ」を抱えながら働いているが、痛切なものは「構想と実行の分離」に直面することである。
若き経済思想家の斎藤幸平さんは「ゼロからの『資本論』」で学校給食を例に挙げて説明する。1961年の給食制度調査会の答申に従って「給食センター」が設置されていく。これまで各校が独自に調理していた給食がセンターで作られて配給される。給食のコストダウンは実現したが、「構想と実行の分離」が起きてしまったのだ。
斎藤さんは指摘する。〈各校の給食室から構想を奪い、料理をするという実行も剥奪して、運ばれた給食を配るという単純作業に閉じ込めました〉
自らの構想と組織の構想がしばしば相反するのは当然のことだろう。組織の中で働くということは、個人の構想を超えた組織の構想の中で実行を重ねていくことだ。
間もなく新年度を迎える。その組織の構想はサラリーマンたちに働きがいを与えるものだろうか。そもそも組織の構想に、みんなが参画することができていたのだろうか。おいちゃんの言葉がリフレインする。