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2024.03.19 08:00

【自民裏金解明】説明責任と処分を明確に

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 実態解明が進まなければ再発防止策の実効性も高まらない。まだ説明は足りていない。政治不信を引き起こしているとの認識を行動につなげる必要がある。
 自民党大会で岸田文雄首相(党総裁)は、派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡る関係議員の党処分に言及した。政治資金収支報告書の不記載額や役職歴、説明責任の果たし方などを総合的に勘案するという。茂木敏充幹事長に結論を得るよう指示したと述べた。
 処分を曖昧にすることは許されず、明確な方針に基づく対処が求められる。首相はきのう、処分前の衆院解散は考えていないと言明した。4月上旬にも80人規模で実施するとの見方がある。先送りしては自らの判断を制約することになる。
 処分の判断材料の一つとなる説明責任をどのように評価するのか気になる。衆参の政治倫理審査会に出席したのは、きのうの下村博文氏を含め10人にとどまる。また、疑念を解消するには至らず、説明責任を果たしていないとの見方は自民内からも上がる。首相は自らの出席で状況を動かしたが、解明への強い思いを感じさせなかった。
 安倍派では資金還流の中止をいったんは決めたものの復活した。これを巡る幹部協議に関する証言に食い違いが生じている。会長代理を務めた下村氏の政倫審での発言が注目されたが、誰がどう決めたのか全く承知していないと述べるなど、真相解明には程遠い内容だった。幕引きを図れるような状況ではない。
 党大会では、今後新たに政治資金事件に関係した議員処分を厳格化する党則や規律規約などを改めた。政治団体の会計責任者が政治資金規正法違反で逮捕や起訴された場合、離党勧告処分を下せるようにした。旧来の派閥を禁止し、疑義が生じた議員の説明責任を明記した。
 処分は政権内の亀裂を深めかねないとして、党役職停止など比較的軽いものにとどめたいとする声も出ていたようだ。それよりは重い処分で決着したが、身内に甘い姿勢が世論に認められるはずはない。
 問われるのは規正法の改正への姿勢だ。現行の規正法では、政治資金収支報告書への不記載や虚偽記入の処罰対象は会計責任者で、議員本人の刑事責任には具体的な指示や了承の立証が求められる。厳格化、厳罰化を求める意見は根強い。
 議員が違法行為に直接関係していなくても連帯責任を負わせる公選法の連座制のような仕組みが取り上げられる。首相は規正法改正を今国会で実現する意欲を繰り返し述べている。その熱意を取り組みに反映できるかが分かれ目となる。
 旧来派閥の禁止も、人事や選挙への影響力を排除するために必要なのは間違いないが、復活や抜け道を阻止する方策を明確にしなければ意味はない。見せかけの対応にとどまれば政治不信は一段と強まる。重要なのは「政治とカネ」の透明性を高めることだ。緊張感を欠くような対応では支持は得られない。

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