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2024.03.14 08:00

小社会 数学の日

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 高校時代、「数学は芸術です」が口癖の先生がいた。黒板につらつら計算式を書き、「ほら美しいでしょう」。授業についていくのに必死で、そんな感性は最後まで持てなかったが…。

 数学者で評論家としても活躍した故森毅さんは40年以上前から「数学は、もっと易(やさ)しいものであるべきだ」が持論だった(著書「ものぐさ数学のすすめ」)。面白さを実感できない教科になっていると訴えた。

 確かに数学には小難しい定理や公式を理解しないと進めないような雰囲気がある。時代はいま、不足するIT技術者など理数系人材を求めているが、若者の理数離れは続いている。中学あたりで苦手意識が膨らむ一因になっていないだろうか。

 森さんはさらに、中高時代に数学で慣れ親しむ「模範答案」にも警鐘を鳴らした。数学の説き方には無駄のない模範答案があり、尊重される。大学に入ると、数学以外の分野でもそんな指針や命令を信奉し、自分を従わせようとする傾向があると。

 いまも生成AI(人工知能)を使って同じようなリポートを書く大学生の増加が話題になっている。日本の「正しい針路」なるものを示す「指導者」が出てきたら「大学生たちもみなその『命令』に従う、そんな日がまた来るのかなあ」。森さんは戦前戦中を思い返し、心配した。

 きょうは円周率の3・14にちなんだ「数学の日」。これからの数学を考える機会にしてみては。

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