ハンセン病の差別と歴史忘れないで　田島征三さんと元患者・野村宏さん、香南市赤岡町で児童生徒らと交流

2024.03.11 05:00

ハンセン病の差別と歴史忘れないで　田島征三さんと元患者・野村宏さん、香南市赤岡町で児童生徒らと交流

高知新聞社

ハンセン病患者への差別について語る野村宏さん＝右と田島征三さん（香南市赤岡町の赤岡市民館）

　ハンセン病(びょう)国立(こくりつ)療養(りょうよう)所(じょ)、大島(おおしま)青松(せいしょう)園(えん)（高松(たかまつ)市(し)）で暮(く)らす土佐清水(とさしみず)市(し)出身(しゅっしん)の野村()宏()さん（８７）と、親交(しんこう)のある絵本(えほん)作家(さっか)、田島()征()三()さん（８４）が３日(か)、香南(こうなん)市(し)の赤岡(あかおか)市民館(しみんかん)で人権(じんけん)学習(がくしゅう)に取(と)り組(く)む「若杉(わかすぎ)子(こ)ども会(かい)」の児童(じどう)生徒(せいと)らと交流(こうりゅう)しました。訪(おとず)れた住民(じゅうみん)約(やく)１２０人(にん)も、ハンセン病(びょう)の歴史(れきし)を語(かた)る２人(ふたり)のトークや田島()さんのライブペインティングを通(とお)して、差別(さべつ)について理解(りかい)を深(ふか)めました。

　香南(こうなん)市(し)赤岡(あかおか)町(ちょう)には、ハンセン病(びょう)だったお姫(ひめ)さまを住民(じゅうみん)が看病(かんびょう)し、死後(しご)に祭(まつ)ったと伝(つた)えられる美(み)宜子(きこ)神社(じんじゃ)があります。５０年(ねん)ほど前(まえ)には行方(ゆくえ)が分(わ)からなくなっていた本尊(ほんぞん)が大島(おおしま)青松(せいしょう)園(えん)で発見(はっけん)され、１９９９年(ねん)からは地元(じもと)の子(こ)どもたちが園(えん)を訪問(ほうもん)するなど交流(こうりゅう)しています。

　子(こ)どもたちは手作(てづく)りの紙芝居(かみしばい)で園(えん)との関(かか)わりを紹介(しょうかい)。「私(わたし)たちの祖先(そせん)は、平和(へいわ)と差別(さべつ)からの解放(かいほう)を願(ねが)い美(み)宜子(きこ)さんに願(ねが)いを預(あず)けた。この思(おも)いを受(う)けついでいく」と述(の)べました。

　トークでは「患者(かんじゃ)なのに大工(だいく)をさせられたそうですね」と田島()さんがたずね、「脱走(だっそう)した人(ひと)のろうやや足(た)りない便器(べんき)も作(つく)った。本当(ほんとう)に悲(かな)しい島(しま)」と野村(のむら)さん。患者(かんじゃ)の看護(かんご)や火葬(かそう)、園(えん)の管理(かんり)作業(さぎょう)といった「人間(にんげん)扱(あつか)いされない」強制(きょうせい)労働(ろうどう)などをふり返(かえ)りました。ライブペインティングでは、田島()さんが縦(たて)３．２メートル、横(よこ)１．９メートルのキャンバスに赤(あか)や緑(みどり)を重(かさ)ね、ずっとかきたかったという美(み)宜子(きこ)姫(ひめ)をかいていきました。

　野村()さんは「当時(とうじ)を知(し)る人(ひと)もほとんどいなくなった。子(こ)どもたちが知(し)り、伝(つた)えてくれるのはありがたい」。岡豊(おこう)高校(こうこう)１年(ねん)の村井()聡()太()さん（１６）は「大島(おおしま)での差別(さべつ)は衝撃(しょうげき)的(てき)。差別(さべつ)を受(う)けた時(とき)のため、しっかり学(まな)ぶことが必要(ひつよう)だと思(おも)う」と話(はな)しました。

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