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2024.03.08 08:00

【国際女性デー】ジェンダー平等の浸透を

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 きょうは国連が定めた「国際女性デー」。女性の地位向上、女性差別の解消などを目指す国際的な統一行動日だ。
 女性への不当な差別は、普遍的な価値観である基本的人権を侵すことにほかならない。ジェンダー平等の視点や、性別にかかわらず自分らしさを発揮できる環境が、社会の活力や安定につながると言える。いま直面する少子化の傾向を反転させるのも、ジェンダー平等の浸透が前提になるだろう。
 にもかかわらず、旧来の男女の役割分担意識や、「男らしさ」「女らしさ」の固定観念から抜け出せない場面はなくならず、問題が生じる事態が絶えない。節目の日に当たり、ジェンダー平等の理念を改めて確認し、浸透を図りたい。
 先の能登半島地震でも男女格差の問題が露呈した。避難所生活で、女性や妊産婦らが安心して過ごすための運営面の配慮や備蓄品が不十分だったことが明らかになった。
 能登地域に限らず、全国の自治体の約6割は災害担当部門に女性職員を配属していないという。「災害対応は男性が適任」との先入観が影響しているとみてよい。女性が計画づくり・決定に参加していれば、対応できていたかもしれない。全ての分野に通じる象徴的な話だと捉えるべきだ。
 日本の男女格差解消の動きは、総じて遅れているといってよい。
 海外のシンクタンクが毎年公表する「ジェンダー・ギャップ報告」2023年版では、日本は調査対象146カ国の中で過去最低の125位だった。
 中でも経済、政治分野の低迷は顕著だった。収入や雇用、子育ての負担などで男女格差が明確であるにもかかわらず、両分野とも女性の主要ポストへの登用や、意思決定に加わる機会が限られており、格差を是正するための政策・施策が実行されにくい悪循環の構図も浮かぶ。
 その結果も意識したのだろう。岸田文雄首相は昨秋の内閣改造で、閣僚に女性5人を起用した。しかし殊更に「女性らしさ」を強調した説明でかえって旧態依然とした認識をさらし、副大臣・政務官人事は女性ゼロで本気度を問われた。
 選択的夫婦別姓の論議が進まないことなどを見ても、政権や自民党にジェンダー平等への意欲をうかがうことは難しい。うわべだけの対応で実効性を上げることができるのか。取り組む姿勢の刷新が必要だ。
 国際女性デーには毎年、都道府県別のジェンダー・ギャップ指数も公表される。都道府県比較では本県は教育、経済分野での格差が小さく上位にいるが、指標そのものを見れば格差は大きい。地方レベルでも、独自に格差の是正に取り組んでいくことが求められる。
 人口減少が深刻化する中、特に若者の定着が大きな課題になっているが、その世代ほど男女平等を当然だと思う意識が強い。高齢化が進んだ地域で旧来の価値観がはびこっていれば定着の障壁になるということにも、留意する必要がある。

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