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2024.02.15 08:00

小社会 苦い記憶

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 年齢的に気になって脳ドックを受けたのは7年ほど前のこと。幸い異常はなく、新聞記者は不摂生だとの先入観がある医者から「意外に(脳が)きれい」と感心されて、「失礼ですね~」と笑い合ったことだった。

 その際、MRIで撮られたわが脳を初めて拝み、神妙な気分になった。自分の思考と記憶の全てがここにある、と。ちなみに脳の容量を今風にギガで言うと、ざっと100万ギガとか(諸説あり)。最新スマホ2千個分に当たり、私たちは必要に応じてそこから記憶を引き出している。

 その脳の機能に、バイデン米大統領がけちをつけられている。機密文書持ち出し事件で検事が訴追を見送った。理由は「記憶力が限界」。大統領は色をなして反論した。

 確かに言い間違いが目立ち、衰えを指摘されても仕方ないが、あまりにひどい言い草だろう。政敵トランプ前大統領の中傷はより強烈で、「自分が生きているかも分かっていない」。大統領選の異様さと下品さばかりが際立つ。

 「記憶」を巡る騒動は日本でも。文部科学相が、旧統一教会との接点を指摘され、「記憶がない」を連発している。宗教行政の責任者として不都合な事実である。決して「覚えている」とは言えない。

 記憶力がないと言われて反発する政治家がいる。記憶がないと自らさらして問題から逃れようとする政治家がいる。筆者の意外にきれいな脳に刻まれる、2024年冬の苦いメモリーだ。

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