2024.02.09 08:00
小社会 言いにくいカネ
懇意の首相夫人がアパートを訪ねてきた。「談志さんウオッカが好きでしょ」と箱を置き、すぐに帰った。箱を開けると、瓶の下に現金で300万円が入っている。
置き場がなく、押し入れの布団に放り込んだ。するとコメディアンの内藤陳さんが遊びにきて、泊まろうと布団を出したら300万円がドンと落下。「陳ちゃん驚きやがったっけ」。言いたい放題だった談志さんにして「時効」と断るほどだから、人には言いにくい金ではあったのだろう。
自民党派閥の裏金事件で、政治家は何に金を使っているのかと世間の疑いの目が向いている。岸田首相は、「信頼回復へ火の玉になる」と大見えを切った。ところが、どうも改革への熱は伝わってこない。
党の全国会議員に対するアンケートは紙1枚。裏金の使い道も聞いていない。5年で50億円ともされる元幹事長への政策活動費も、「確認するまでもない」と使途確認を拒んだ。うみを出し切らないお手盛り調査が何を生むかといえば、ここ数日の旧統一教会問題の再燃のように映る。
不透明を火で照らす気がなければ、信頼回復もないだろう。何よりこっちの話は時効でも何でもない。