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高知新聞PLUSの活用法

2024.02.05 08:00

小社会 遠い吉田流

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 宿毛市出身の竹内綱を実父に持つ吉田茂元首相の語録は多い。例えば政界引退後、何を食べてそんなに元気なのかと外国の記者に聞かれて、「強いて言えば、年中ヒトを食ってます」。

 高知市で総選挙の演説中に「オーバーを脱げ!」と酔漢にやじられ、「外套(がいとう)を着てやるから街頭演説だ」とは過去の当欄にもある。むろん、「曲学阿世(あせい)の徒」「バカヤロー」など失言も多く残る。とはいえ「ワンマン」「傲慢(ごうまん)」と批判される一方では、当意即妙のユーモアによる親しみやすさがあったのだろう。

 「先祖代々」ともいわれた失言癖も、とうに度を越しているのではないか。孫の麻生太郎・自民党副総裁が毎年のように繰り返す問題発言は、吉田流ユーモアの後味からも程遠い。

 先月末、講演で上川陽子外相の容姿や年齢をあげつらった。「そんなに美しい方(かた)とは言わんけれど」「このおばさんやるねえ」。撤回はしたが、典型的なルッキズム(外見至上主義)、少数派の女性政治家に対する男性の「上から目線」といった批判は収まらない。

 英紙の電子版では、最も読まれた記事になったという。こうした問題に敏感な潮流から、日本の政治が遅れている証左だろうか。上川さんは政権内で影響力が強い麻生さんに配慮し、論評は避けたという点にも古さが漂う。

 親しみようがない失言癖をいさめる人もいないのなら、自民党は裏金事件に輪をかけて自浄能力が問われる。

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