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2024.02.04 08:00

小社会 まっとうさ

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 通勤途中、県庁前の木曜市を歩く。時折、園児や小学生がお買い物の勉強にやってくる。自分用か家族用か、花を買ったり食べ物を選んだり。先日は幼い男の子が100円玉を突き出し、少しぶっきらぼうな調子で「ダイコン二つ」。そんな大人びた物言いもほほえましい。

 平日の市が生活市なら追手筋のそれは生活と観光の混在型。先週、朝7時過ぎに行くと、まだ薄く白んだままの空の下に多くの人がいた。

 水菜や小松菜などが並ぶ小間をしばしのぞく。なじみ客らも次々に来る。少しでもいいものをと思えば、朝早いうちに、らしい。店の女性は「あっ、これ(量が)ちょっと少ない。80円でえいき」と野菜の束を20円値引き。別の客には「これ虫が食べちゅうけど、えい?」。少しつっけんどんだけど、しみじみ温かい。

 季節を重ねて育てる。丁寧に収穫し、客を思いながら土を落とす。真っ暗なうちに起き、市への荷造り。市を歩いていると心が洗われるような気になるのは、ここに集う人たちの「まっとうさ」ゆえのことかもしれない。私たちはこうして生きてます。覚悟をもって、飾らず愚直に日々の営為をさらす。

 ン百万円の商品を手抜きで作る有名企業、カネの価値も扱いもズレ切った政治家。世情の彼我になおさら思う。

 輪島の市のことも思いながら歩いていると、「あら、もう出ちゅう」の声。つられて見ると、一かご100円のフキノトウ。きょう、立春。

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