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2024.02.03 08:00

小社会 伝統行事

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 ことしも子どもたちの元気な声「鬼は外!」が聞こえてくるだろうか。きょうは節分。災いをもたらす鬼を撃退する「豆まき」の日。

 その歴史は古く、始まりは一説では室町時代という。鬼をはらう行事自体はさらに奈良時代以前にさかのぼる。それだけ日本人は昔から鬼が恐ろしく、忌まわしかったのだろう。

 もっとも祖先はしたたかな面もあったらしい。鬼をかたどった鬼瓦を作る文化は鬼の力で別の鬼を退ける狙いがあった。「一寸法師」は鬼の打ち出の小づちで体を大きくし、金銀も手にする。祖先は「鬼の邪悪な側面を封じ込め、好ましい側面を引き出してそれを役立たせることができると考えていた」と民俗学者の小松和彦さん(著書「鬼と日本人」)。

 これもそうだろう。石川県能登地方の節分行事「アマメハギ」。鬼の姿をした小中学生が家々を回り、火鉢に長く当たると足にできるたこ「アマメ」をはぐと脅す。怠け心を戒める厄よけの行事で、人々の勤勉さが伝わる。

 ユネスコの無形文化遺産でもあるが、ことしは能登半島地震で被災し、中止する集落が相次いでいるという。住民の無念さを地元の北國新聞が報じていた。地震から1カ月余り。こうした余波にも被災の大きさを痛感する。

 まずはライフラインや住宅の確保が急がれるが、地方にとって伝統行事は地域の活力を映す鏡でもある。再開や存続がかなう復旧、復興も願わずにはいられない。

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