2024.02.02 08:00
小社会 走る交番
今のように「箱」を設けて警官が詰めるよう定められたのが1881年2月2日。これにちなみ、きょうは「交番設置記念日」なのだとか。交番登場からちょうど150年。日本で育った治安システムは、いまや「KOBAN」として世界各国に広がる。
その交番。近年は移動式が増えているようだ。本県でも先月末、ワンボックス車を改装した移動交番車が安田町に初出動した、と報じられた。
移動スーパーに移動金融車、移動期日前投票所…、次々と登場する出張サービスに治安・防犯が加わった。前向きな話ながら、中山間地域の過疎の現実を改めて映す。
ただ、地域はやはり心強いだろう。世界で交番が普及するのは、あるだけで犯罪抑止になることが実証されているから。県警が2000年代半ばに駐在所・交番の大規模な統廃合を進め、地域からかなり反発が出たことを思い出す。あって当たり前。なくなると知って、初めて存在の大きさに気づいた。
移動交番車は、警察側から住民に働きかける数少ない手段の一つでもある。役割は見た目以上に大きいのかも。一方で将来的に駐在所の再編話が出てきた時、代替手段として安易に使われるかもしれない。その走らせ方は、間違えないでほしいものである。