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2024.01.25 08:00

【通常国会召集へ】政治の信頼取り戻せるか

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 通常国会があす召集される。
 自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件で国民の政治不信はかつてないほど高まっている。重要政策の決定で国民的議論を省き、課題への場当たり的な対応も目立つ岸田政権にはこれまでも厳しい目が向けられてきたが、その不信の度合いは底を抜けた感すらある。
 信頼されない政治がつくった予算や政策は求心力を欠く。それは国民にとっても不幸なことだ。信頼回復が強く求められる局面であり、国会の論戦、法案審議をそのための場にしなければならない。
 最大のテーマはやはり、政治資金の扱いを中心とした政治改革になる。事件を受けて自民は、政治刷新本部の中間報告として改革案を示した。岸田文雄首相はそれを踏まえて取り組みを進める考えだ。
 しかし、裏金づくりの経緯やその使途など実態は不透明なままだ。説明責任は果たされておらず、立件されなかった派閥幹部議員らも政治責任は免れない。これらを問うことなしに信頼回復はありえない。
 資金の透明化、不正の再発防止に向けては、政治資金規正法の改正が焦点となる。自民方針はまだ具体性を欠き、野党は独自案を掲げる。
 政党への企業・団体献金、議員が連帯責任を負う連座制などが個別ポイントになるが、重要なのは国民の納得感だ。小手先だと見透かされる対応に終われば逆効果になろう。
 能登半島地震の被災地支援も大きな課題になる。政府は支援策をパッケージとしてまとめた。時間の経過とともに被災地の状況やニーズは変わる。スピード感、機動的な対応が欠かせない。半島地形の特殊性や寒さ対策など防災上の新たな課題も浮かんだ。教訓として今後につながる議論も求められる。
 2024年度予算案は、一般会計の歳出が過去2番目の規模の112兆円台となった。新型コロナ禍から平時への回帰は進まず、借金頼みの財政が続く。防衛費も歳入の裏付けがないまま規模が膨らむ。財政運営の基本認識が問われる。重点化した賃上げ促進策も吟味が必要だ。
 政府は昨年末、防衛装備品の輸出ルールを定めた防衛装備移転三原則の改定を決め、殺傷能力のある武器の輸出へ道を開いた。反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有、原発回帰に続いて、国会の議論を経ない重要政策の転換がまた繰り返された。
 国際紛争を助長する懸念が否めず当然、今国会の論点になるが、本来なら決定前に議論するべきだ。国会軽視の姿勢が目に余る。
 安全保障政策、エネルギー政策、異次元を掲げる少子化対策などで、積み残されたままの疑問はなお多い。国民の代表が集まる場で正面から向き合うべきだ。
 昨年末、派閥裏金を巡って政権幹部らは「答弁を差し控える」を連発し、国民のひんしゅくを買った。政治は説明するのが仕事だろう。都合の悪いことは答えなくてよいとの考えが政権や与党に根付いているのなら、意識を改める必要がある。

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