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2024.01.20 08:00

小社会 融合の国

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 軽やかなタップダンスで紡ぐ、男女の純愛と成功の物語。先日、劇団四季のミュージカル「クレイジー・フォー・ユー」の高知公演を見て、あのミュージカル映画の名作「雨に唄(うた)えば」(1952年)を思い出した。

 見せ場は同じくタップダンス。当時の大スター、ジーン・ケリーさんが土砂降りの雨の中で歌い、踊る名場面は70年以上たったいまも語り草である。

 確かに見る者を憧れさせ、一緒に靴底を踏み鳴らしたくなるダンスだった。「戦後の米国のエネルギーや開放感を感じさせてくれた」。かつて映画評論家の故品田雄吉さんはケリーさんの踊りをそうも評している。

 タップダンスは19世紀、米国で誕生した。アフリカ系とアイルランド系移民の舞踏を融合させ、黒人たちが考案したという。ジャズやブルースがそうであるように、タップダンスもまた黒人たちが不遇の時代に創り出した文化というわけだ。

 こうした音楽や踊りはその後、人種や民族を超え、世界に広がって発展してきた。融合は米国の象徴であり、パワーの源だと、ダンスの一つからも感じる。ところが最近の米国はどうだろう。協調や寛容の国から分断や排他的な国になりつつある。

 次期大統領選でトランプ前大統領の人気が再燃している。まさかまた、独善的なリズムに世界が踊らされる日が来るのだろうか。次期大統領の就任日はちょうど来年の1月20日。気をもむ1年になりそうだ。

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