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2024.01.07 08:00

【あす成人の日】世代の垣根越え前進を

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 あす8日は「成人の日」。成人年齢は一昨年春に20歳から18歳に引き下げられ、新年を18歳で迎えた全国の約106万人、県内の5千人超が大人の仲間入りをしたことになる。
 記念式典は従来通り20歳を対象にした市町村が多いようだが、多くの若者が節目を迎えたことに変わりはない。祝日法がうたう「おとなになったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます」との趣旨を、各世代があらためてかみしめたい。
 新成人を待ち受ける社会には課題が山積している。先行きの不透明感は否めない。だからこそ新成人世代はこれから、課題に向き合う当事者として研さんを重ね、持てる能力を発揮してもらいたい。
 そもそも成人年齢を18歳にした背景には、社会で若い人に積極的に役割を果たしてもらおうという考えがある。年齢の引き下げに踏み切った年長世代には当然、そのような環境を整えていく責任がある。
 大きな課題の一つは、やはり人口減少、少子化問題だろう。とりわけ本県などの地方は地域社会、地域経済をどう維持していくかが、大きなテーマになっている。
 高齢化の中、高齢者と現役世代の人口バランスは変わり、年金や医療保険など社会保障制度の持続可能性も問われている。
 年明けの能登半島地震で改めて脅威を見せつけられたように、いつか遭遇する巨大な災害への対応も避けて通れない。気候変動問題もある。影響は年々、深刻さを増しており、「地球沸騰化」とも評される。
 国際情勢は不安定だ。ロシアの侵攻を受けるウクライナやパレスチナ自治区ガザ情勢は戦争状態にある。米中関係の緊張が続き、東アジア情勢の不安定さにつながっている。
 若い世代ほど不安を持ってしまう状況である。しかしそれは同時に、その世代の声と危機感こそが、社会の変化を加速させる原動力、鍵になるということでもある。
 課題解決の手段になり得るデジタル技術の活用に長じているのも、この世代だ。社会の担い手としての存在感を、これまで以上に高めていく必要がある。
 年長者は、若い世代のアイデアや行動力を引き出し、生かすことが求められる。世代の垣根を越えてスムーズに意思疎通し、互いの方向感がかみ合いながら前進していくことが重要だ。
 新成人世代は幼少時からデジタル技術や交流サイト(SNS)に親しんできた「Z世代」と呼ばれ、多様性や自分らしさを重視するのが特徴だ。職場や地域社会で力を発揮するには、求めることが合理的であること、透明性があること、プライバシーが尊重されることなどがポイントに挙がる。特徴を踏まえた対応が求められる。
 新成人世代は多感な10代のうちの貴重な3年程度を新型コロナウイルス禍の中で過ごした。厳しい時期を乗り越えてきた経験を、前に進むエネルギーに変えてもらいたい。

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