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2023.12.28 08:00

小社会 日本人、月へ

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 昨夜は月をご覧になっただろうか。「コールドムーン」とも呼ばれる、ことし最後の満月だった。澄んだ冬の夜空に昇ったひときわ明るい球体。中秋の名月とはまた違う趣があった。

 日本人は古くから月に特別な思いを寄せてきた。短歌や俳句では心情や風情を月に重ね、「竹取物語」のような物語も作った。三日月のかぶとで有名な伊達政宗は、辞世の句にも月を用いて信念を表現している。〈曇りなき心の月を先立てて浮世の闇を照らしてぞ行く〉

 現代人も変わらない。2年前、東京の調査会社がアンケートで宇宙旅行で行きたい場所を問うたところ、「月」と答えた人が7割を超え、トップだったという。いかにも日本人らしい。

 そんな日本人がついに月に降り立つようだ。米主導の国際月探査「アルテミス計画」で、2020年代後半にも日本人宇宙飛行士を月面着陸させる方向になった。月面探査車の開発などで貢献している見返りという。

 政宗や竹取物語の作者が知ればさぞうらやましがるだろう。かつてこう詠んだ小林一茶も。〈名月をとってくれろと泣く子かな〉。次は月に連れて行けと泣く子が現れるか。

 米宇宙船アポロ11号の乗組員が人類初の月面着陸や歩行に成功したのは1969年。あの光景が日本人によって再現されるとなれば、やはり待ち遠しい。ことしの「コールドムーン」の見栄えのよさは、そんな吉報もあってのことだろう。

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