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2023.12.10 08:00

【オスプレイ事故】政府は主体的に対応せよ

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 日本の空を飛び、墜落場所が住宅地ならば大惨事になりかねなかった事故である。国民の安全を守るべき政府が主体性を持ち、毅然(きぜん)と対応しているのか疑問が募る。
 鹿児島県・屋久島沖の米空軍輸送機CV22オスプレイ墜落事故で、米軍は空軍のほか海軍や海兵隊を含め全てのオスプレイの飛行を世界中で一時停止とした。米軍は470機以上を保有している。
 事故は先月29日に発生した。横田基地(東京都)配備のCV22が、岩国基地(山口県)から嘉手納基地(沖縄県)に向かう途中で墜落した。米軍は搭乗員8人全員が死亡したと認定している。
 事故後の予備調査では操縦ミスなど人為的な要因ではなく、機材の不具合の可能性が浮上したという。米国の国家安全保障会議(NSC)は事故機に限られた問題なのか、全てのオスプレイのシステムに共通する不具合なのか、あらゆる可能性を調べる方針を示している。
 NSCは「安全性を確認するまで飛行は再開しない」ともする。どの程度の期間になるかは不明だが、国民や米兵の生命を脅かす事故再発の懸念が拭えない状況にある。米軍は原因究明と情報開示を徹底しなければならない。
 飛行停止は当然として、国内ではその対応の遅さを批判する声が上がっている。
 日本政府は事故翌日、安全性が確認されるまで飛行を停止するよう米側に要請した。陸上自衛隊もオスプレイの飛行を見合わせている。
 しかし、米国防総省は当初、要請を把握していないと表明。沖縄県内の米軍基地ではCV22を除いて今月6日まで連日、海兵隊仕様のMV22や海軍仕様のCMV22の離着陸が計100回以上確認された。
 日米両政府は対等に意思疎通をしているのか、懸念が募る。関係する自治体では、米側に対して「弱腰」とも映る日本政府への不満が高まったのも当然だろう。
 日本の捜査権を制限する日米地位協定の壁も、あらためて浮き彫りになった。
 今回も、検視や司法解剖もしないままの搭乗員の遺体、屋久島沖で回収された事故機の残骸が米側に引き渡された。米側が機密保全や日米地位協定を盾に、日本側を「蚊帳の外」に置く構図は、過去の事故でも繰り返されてきた。
 全国知事会は2018年、日米地位協定の抜本的見直しを求める提言を政府に提出している。オスプレイの配備拡大や、日米合意による本土側での訓練の増大が背景にあった。ところが、政府が提言を重く受け止めた形跡はない。
 沖縄県名護市沖に米軍のMV22が不時着し大破した16年の事故では、日本側が飛行停止を要請。米側は受け入れたが、事故からわずか6日後に「機体に問題はない」として一部飛行を再開させた例もある。
 日本政府は主権国家として米側に情報開示を徹底させ、国民の安全を守る対策をとるよう求める。

高知のニュース 社説

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