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2023.12.09 08:00

小社会 狸とアルマジロ

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 いつの時代も、「狸(たぬき)」といえる政治家は多いが、戦後、「政界の大狸」の異名を取った衆院議員がいる。三木武吉。吉田茂政権打倒を画策し、1955(昭和30)年の保守合同による自民党結成では立役者とされる。

 「泥棒と詐欺師と大臣だけはやらないんだ」。そう言って閣僚経験もなかったようだが、政界の裏工作にたけ、「寝業師」とも呼ばれた。悪賢くも、一目置かれた狸だったのだろう。

 それに比べ、近頃の狸政治家は違った印象がある。数年前、イメージカラーに引っかけて「緑の狸」と呼ばれたのは東京都の小池百合子知事。評価されてというより、やゆが強く感じられるが、したたかな立ち回りには確かに狸の表現が合う。

 では、いまの政権はどうか。岸田文雄首相にも松野博一官房長官にも狡猾(こうかつ)さは感じられない。ただ自民党のパーティー券を巡る裏金疑惑では事実上だんまりを決め込んでいる。正面から向き合わず、狸よりたちが悪い。

 「アルマジロ」。先日のテレビ番組で、党内で松野氏につけられているというあだ名が紹介されていた。攻撃されると、とっさに丸まって防御に入るかららしい。

 アルマジロは銃弾をはね返した逸話もあるほど硬い外皮をまとう。うまい例えだが、松野氏は渦中の安倍派の中枢にいる。説明を求める世論をいつまではね返し続けるつもりなのか。岸田氏もその防御の傘に入っている場合ではなかろう。

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