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2023.12.08 08:00

【ガザ戦闘2カ月】犠牲をこれ以上増やすな

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 パレスチナ自治区ガザでの大規模戦闘は開始から2カ月がたった。戦闘地域は全域へと広がり、住民は危険にさらされている。国際社会は休戦と人質解放への関与を強め、本格的な停戦につなげていきたい。
 ガザ側の死者は1万6千人を超え、避難民はガザ人口の8割を超える190万人に近い。人道危機は深刻化している。
 停戦は住民の切実な願いだ。双方の合意に基づく戦闘休止の期間中、ガザを実効支配するイスラム組織ハマスは拘束する人質を解放し、イスラエルは拘束するパレスチナ人を釈放する身柄交換が行われた。人道支援物資も搬入された。
 しかし、休止は2度延期されたものの7日間で終了し、今月1日には戦闘が再開された。イスラエルはハマス壊滅を宣言し、戦闘休止は一時的措置と位置付けてきた。軍はガザ全域で空爆や砲撃を行い、地上部隊はガザ南部にも侵攻している。
 地上侵攻を開始した当初、イスラエルは北部の住民に対して南部への避難を強要した。このため南部は既に避難者であふれている。
 支援物資は十分に届かず、食料や燃料は不足して困窮している。多くの病院が稼働停止に追い込まれ、患者も避難が続く。難民キャンプも攻撃されている。さらに戦闘区域が広がれば、民間人の犠牲が増えることは避けられない。
 イスラエル軍はガザ北部の病院にハマスの司令部があるとして攻撃を重ね、南部には重要拠点があると侵攻を正当化している。戦闘地区を事前通告して民間人被害を最小限に抑えるとするが、過剰攻撃との批判は根強い。高まる人道危機に、後ろ盾になってきた米国からも抗議の声が上がる状況だ。
 イスラエルはハマス壊滅と人質解放を掲げ、人質解放まで停戦には応じない姿勢を示す。中東最強とされるイスラエル軍は、ハマスへの軍事圧力を強めて人質の解放を狙う。
 一方、ハマスはロケット弾をイスラエルに向けて断続的に発射しているが、戦力で決定的に劣る。軍の猛攻で受けた打撃も大きい。しかし対決姿勢は変わらず、残る百数十人の人質を使って揺さぶりをかけるのは必至だ。
 国際世論が停戦を求めても、その道筋を描くのは簡単ではない。それでも戦闘休止へ向けた努力を継続することが重要だ。
 イスラエルのネタニヤフ首相は、ハマス壊滅後はガザを軍事占領する構えを見せる。中東情勢の緊張を高めかねず、深まる混迷の影響は世界に及びかねない。
 イエメンの親イラン武装組織フーシ派は、イスラエルに関係するとみた船舶の乗っ取りや攻撃を行っている。航行の安全が脅かされている。国際社会に対立と分断を拡大させないよう冷静な対応が求められる。
 ハマスがイランに財政支援を求めたとの報道がある。戦闘長期化を見据えた対応と分析される。停戦実現へ向けた取り組みの重要性は一段と増している。

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