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2023.12.06 08:00

【パーティー収入】裏金の疑念と向き合え

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 「政治とカネ」問題の根深さを見せつけられるようだ。政治不信を高める疑惑を軽んじてはならない。実態の解明が不可欠であり、説明責任を果たす必要がある。
 自民党派閥の政治団体による政治資金パーティーを巡る問題が拡大する様相を見せている。収入の過少報告にとどまらず、議員への還流疑惑も浮上している。
 5派閥が収入計4千万円分を政治資金収支報告書に過少記載したとして告発された。東京地検特捜部は政治資金規正法違反(不記載・虚偽記入)の疑いで捜査し、担当者らを任意で聴取している。
 規正法は、20万円を超えるパーティー券購入を収支報告書に記載するよう義務付けている。告発状は、2018~21年分の5派閥の収支報告書の収入と、パーティー券を購入した政治団体側の支出の食い違いに基づくという。
 首相は各派に説明するように指示し、各派は収支報告書を訂正したとする。派閥側は、事務的ミスによる記載漏れだと位置付ける。
 各派閥は、1枚2万円が相場のパーティー券の販売ノルマを所属議員に課す。複数の議員が同一企業・団体に依頼することがあり、個別には20万円以下でも全体ではそれを上回っているケースがある。その名寄せができていなかったというのが派閥側の説明だ。
 単純ミスとすることで、裏金づくりとの疑念を拭いたいのだろう。しかし、常態化が疑われる状況であり、修正でやり過ごそうとしても納得は得られはしない。政治とカネには有権者の視線が厳しいことを真剣に受け止める必要がある。
 議員はノルマを上回って売り上げると、超過分が派閥から議員にキックバックされて収入になる仕組みがあるようだ。派閥の支出と議員の収入が収支報告書に記載されていれば問題はない。それにもかかわらず、双方が適切な記載をしないようでは故意性を疑われる。
 最大派閥の安倍派(清和政策研究会)は、議員へのキックバックで、収支報告書に記載されず22年までの5年で1億円以上が裏金になった可能性があるとみられている。派閥の支出、議員側の収入をともに記載しない運用が続いたようだ。少なくとも10人以上がキックバックを受け、複数が1千万円超とされる。
 二階派(志帥会)でも不記載が億単位に上る可能性が指摘されている。ノルマ超え分を記載しないまま、キックバック分は派閥、議員側とも記載していたという。
 購入する企業・団体が派閥ではなく議員に金銭を渡すことで、金銭授受を表面化させない手法もあるようだ。収支の状況を明らかにして国民の疑惑を招かないようにする規正法の目的を逸脱してしまう。
 政治資金の透明性を高める必要がある。国民に負担を求める一方で、議員が自らには甘いようでは政治の信頼が高まるはずはない。岸田文雄首相の指導力が試される局面であり、曖昧にはできない。

高知のニュース 社説

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