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2023.11.29 08:00

【日中韓外相会談】対話を協調と地域安定へ

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 東アジア情勢の緊張を高めないように、日中韓が協調して取り組む必要がある。3カ国が安定的な関係を築くことが基本となる。そのための対話を重ねていきたい。
 上川陽子外相は中国の王毅外相、韓国の朴振(パクチン)外相と会談した。外相会談は約4年ぶりだ。
 日中韓首脳会談もほぼ同じ期間途絶えている。外相会談では、早期の適切な時期に開く考えで一致した。停滞打開へと動き始めたようだが、年内の開催は事実上見送られた。3カ国を取り巻く状況の反映とも見える。早期開催に向けた努力が欠かせない。
 会談は核・ミサイル開発を進める北朝鮮情勢に関し、核問題の解決に向けて各レベルで意思疎通を続けていくことで合意した。王氏は、事態沈静化と対話に向けた環境整備の必要性を訴えた。
 北朝鮮は先ごろ、軍事偵察衛星を発射し、地球周回軌道に進入させたと主張した。ロシアが弾道ミサイルに転用可能なロケット技術を供与した可能性が指摘される。東アジアの安全保障環境は厳しさを増す恐れが強まる。緊張緩和へ、北朝鮮、ロシアに影響力がある中国の役割が大きい。積極的な関与が期待される。
 日本は韓国との関係が大きく改善する一方で、対中関係は対立の溝が深まっている。中国は沖縄県・尖閣諸島周辺で領海侵入を繰り返すほか、ブイを設置した。また邦人を拘束している。東京電力福島第1原発処理水の海洋放出を巡り、日本産水産物の輸入を規制した。
 先の日中首脳会談では、戦略的互恵関係を包括的に推進することを確認した。処理水に関しては、対話を通じて解決方法を見いだし科学に立脚した議論を行うと確認した。
 だが、外相会談で王氏はそうした方針は確認したものの、輸入規制撤廃に反対する立場を改めて示した。専門家レベルの議論入りなど、事態打開への道筋は描けない状況だ。
 それでも両外相は相互に来日と訪中を招請し、中国は軟化をうかがわせる姿勢も見せる。新たな展開へとつなげるには意思疎通が重要となる。対話の継続が必要だ。
 米中対立が激化する中、先の米中首脳会談では偶発的衝突を避ける姿勢を確認した。バイデン米大統領は支持率が低迷し、中国経済は停滞色が強まっている。対立を深めたくないのが米中の本音だ。さらに中国にとっては米国と連携を強める日韓とは決定的な関係悪化は避け、経済立て直しの動きを強めたい思惑があるとみられる。
 韓国も来年4月の総選挙をにらみ、冷え込んだ対中関係を修復したい思惑がある。2国間それぞれに懸案が横たわり、劇的な改善は望みにくいのが実情ではある。
 それだけに、3カ国での枠組みを持続し機能させる意義は大きい。懸案で2国間の関係が停滞し、直接対話が難しい場合でも、3カ国協議の場を通して意思疎通を確保することが期待できる。首脳会談の実現が枠組み強化につながる。

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