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2023.11.25 08:00

【ガザ戦闘休止】履行し停戦につなげよ

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 戦闘休止を人道危機の改善につなげ、本格停戦への道を探るきっかけにすることが重要だ。犠牲をこれ以上増やしてはならない。
 パレスチナ自治区ガザでのイスラエル軍とイスラム組織ハマスの戦闘が4日間の休止に入った。ハマスが拘束する人質50人が段階的に解放される予定だ。
 ハマスによる奇襲攻撃から1カ月半たつ。死者はイスラエル側が約1200人で、ガザ側は1万4千人を超えた。ガザへの攻撃で住宅や医療施設の損壊が止まらず、生活物資も欠乏している。双方の合意に基づく初めての休止が実現したことは歓迎される。
 イスラエルのネタニヤフ首相は、ハマスを壊滅するまで軍事行動を続ける考えを繰り返してきた。国内ではこの強硬姿勢が圧倒的に支持されているという。
 バイデン米大統領もイスラエルへの揺るぎない支持を打ち出した。しかし、子どもを含む民間人が犠牲となっていることに民主党支持者からも批判が強まっている。大統領再選戦略への悪影響が想定され、イスラエル説得を迫られた。
 イスラエル戦時内閣の対パレスチナ強硬派である極右閣僚らはハマス壊滅を重視し、休止反対の立場をとってきた。世論も強硬だが、同時に他国籍を含め230人以上の人質解放への要求は強く、休止合意を後押しする結果となった。
 交渉は米国、エジプトのほか、小国ながら各国・組織とパイプを持つカタールが仲介した。カタールは引き続き重要な役割を担うとみられる。関係国が連携して休止の延長、さらに恒久的な停戦が実現するように取り組むことが期待される。
 ただ、ネタニヤフ氏は、休止後に戦闘を再開してハマス掃討と人質全員の奪還を目指す考えを表明している。軍は軍事的圧力を強め、地上侵攻をガザ北部から避難民の多い南部に拡大する構えを見せる。
 一方、イスラエルの圧倒的な軍事力にさらされるハマスは、態勢の立て直しに向けて戦闘休止の早期妥結を望んでいたとされる。対決方針は揺らいでいない。休止期間は住民の保護に活用されるべきで、新たな混乱を招くことがないように冷静な対応が求められる。
 当面はガザ全域を対象とする合意が着実に履行されるかが焦点となる。戦闘の休止入りは当初の見通しより遅れた。詳細に関する協議が難航したとも伝えられ、薄氷の合意の側面を物語るようでもある。
 休止入りの直前まで、イスラエル軍の病院や難民キャンプへの攻撃があり、緊張を高めた。軍は地区最大の病院の地下にハマスの司令部があると主張し、地下にあったとするトンネルの映像を公開した。ハマスは否定している。対立の火種を消し去ることは簡単ではない。
 合意には、ガザへの人道支援物資の搬入も含まれる。これまで物資の搬入が思うように進まず、住民生活や医療活動に影響している。改善を確実に進めたい。

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