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2023.11.23 09:25

【11/23発売】「竜馬がゆく」は優れた「文学」だった! 司馬遼太郎生誕100年、元名物国語教諭読み解く「竜馬がゆくのスリルとサスペンス」広井護さん著

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司馬遼太郎さん生誕100年を記念して刊行された広井護さんの「『竜馬がゆく』のスリルとサスペンス」

司馬遼太郎さん生誕100年を記念して刊行された広井護さんの「『竜馬がゆく』のスリルとサスペンス」

 今年生誕100年となる司馬遼太郎さんの代表作「竜馬がゆく」を「文学」として読み解いた「『竜馬がゆく』のスリルとサスペンス」が23日、高知新聞社から刊行される。著者は土佐中高で長らく国語を教えた元教諭の広井護さん(69)で「竜馬がゆく」の作品世界が司馬さん独自の「言葉の魔術」によって構築される優れた文学であることを読み解いた。本紙人気連載に大幅加筆して単行本化された。

土佐中高で国語を教えていた当時の広井護さん(高知市塩屋崎町1丁目)

土佐中高で国語を教えていた当時の広井護さん(高知市塩屋崎町1丁目)

 「さあここからがスリルとサスペンスです」―教壇に立っていた広井先生の決め文句で、文学作品の言葉の裏や行間に秘められているものを鮮やかに解き明かしていく。そうした長年の教師経験をまとめて2016年に出版された「読みのスリルとサスペンス」(南の風社)は県内でベストセラーとなった。

 17~18年に高知新聞で連載された「『竜馬がゆく』のスリルとサスペンス」では、広井先生が新聞記者を生徒役に授業を行って、従来の歴史小説としての読み方ではなく、豊かな文学作品であることを実例を示しながら分かりやすく解説した。

 例えば坂本龍馬と西郷隆盛の初めての出会いという重要な場面。広井先生は明治維新という歴史に大きな役割を果たした2人の初対面に登場する「鈴虫」に着目した。

 西郷に会うために京都の薩摩藩邸を訪れた竜馬はとっぴな振る舞いをする。西郷が客間に行くと竜馬がいない。竜馬は庭で鳴いていた鈴虫を捕っていた。あきれる西郷に竜馬は虫かごを無心する。その場面で繰り広げられる西郷、竜馬、同席していた吉井幸輔からの視点を司馬さんは魔術のように縦横に操りながら描写する。そうして竜馬と西郷という人物の個性が端的に際立ってくる―。

 広井先生は「『竜馬がゆく』は司馬さんの言葉の魔術による豊饒(ほうじょう)な文学であることを知ってもらいたい。国語力、日本語力をアップするためにも絶好のテキストだと思っています」と話している。

 県内では、金高堂書店各店、TSUTAYA各店、宮脇書店各店などで23日から販売。2千円。問い合わせ先は高知新聞社コンテンツ事業局アーカイブ企画部(088・825・4333、平日9~17時)。(竹内 一)

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