2024年 04月28日(日)

現在
6時間後

こんにちはゲスト様

高知新聞PLUSの活用法

2023.11.08 08:00

【知事選あす告示】人口減少県の将来像示せ

SHARE

 高知県知事選があす告示され、26日の投開票に向けて17日間の選挙戦がスタートする。
 人口減少問題への対応や新型コロナウイルス禍後の地域再生など課題が山積する中、県政のかじをどう取るか。リーダーが果たす役割の重さは言うまでもない。候補者には具体的な将来像、政策を示すことが求められる。県民も論戦にしっかりと耳を傾けたい。
 知事選には、再選を目指す無所属現職の浜田省司氏=自民、公明推薦=、いずれも無所属新人の中島康治氏、山下陽一氏、米田稔氏=共産推薦=の4人が立候補する予定だ。
 最大の焦点になるのはやはり、1期4年の浜田県政の評価だろう。
 尾﨑県政の「継承」を掲げて船出した浜田氏だが、新型コロナの流行に見舞われ、感染症対応に追われる期間が長かった。その中で経済活性化策や中山間地域対策、防災・減災対策などを進めてきた。
 本紙が昨年12月に行った県政世論調査では、県政満足度は76・1%だった。高い水準と言える。ただし、満足の度合いは「大いに」に対して「まずまず」が圧倒的に多く、絶対的支持とは言い切れまい。
 浜田県政の特徴を、世論調査結果や県議会の総括などから集約すれば、手堅く安定感がある行政運営の一方、発信力や独自性に欠ける面がある。コロナ対策は評価されているが、それ以外の政策項目に対する評価は、尾﨑県政から後退している、などというところだろう。
 国政との関係は与党との連携を重視する。この点で共産党を中心に批判があり、今回の選挙戦の構図にもつながっている。これらを有権者がどう判断するかが、選挙のポイントになるのではないか。
 本県の現況を俯瞰(ふかん)すれば、観光分野などで明るい要素はあるものの構造的な問題の厳しさは増しており、楽観できる状況では到底ない。
 県人口は県推計で今春、67万人を割り、減少ペースは年々加速している。昨年の県内出生数は初めて4千人を割り、全国最少だった。
 中山間地域の人材不足は顕著で、2021年度に県が行った集落実態調査からは、10年前と比べて世話役の高齢化、後継者不在などの傾向が浮き彫りになった。県都高知市でも各業界・職場で働き手不足の声が上がっている。
 県民が抱く危機感は県政世論調査からも浮かび上がる。県政上の優先課題を問う質問に対して、長く「保健・福祉・医療対策」「雇用対策」が最多だったが、初めて「少子高齢化対策」がトップになった。「過疎・中山間対策」も順位を上げた。
 人口減少をどう鈍化させるか。人が減る中でも豊かさを感じられる地域をどう実現していくか。人口減少社会に挑む道が問われている。
 野党系の候補擁立が遅れたこともあり、選挙ムードは高まっているとは言えない。4年前の投票率は47・67%と5割を切った。県民の高い関心が県政に緊張感をもたらす。一票を無駄にしないようにしたい。

高知のニュース 社説

注目の記事

アクセスランキング

  • 24時間

  • 1週間

  • 1ヶ月