2023.11.07 10:44
【ぷらっとTOKYO】「自由が丘」 トットちゃんゆかりの地に新施設
九品仏浄真寺の境内にある都の天然記念物に指定されたイチョウ=東京都世田谷区
俳優・黒柳徹子さんのベストセラーで自伝的物語「窓ぎわのトットちゃん」の舞台となった自由が丘(東京都目黒区)。東急線の自由が丘駅前では再開発事業が進み、トットちゃんが通ったトモエ学園の跡地には商業施設がオープンした。変貌著しい街を散策した。(共同通信=藤原朋子)
自由の女神像が立つ自由が丘駅前広場から出発した。白い塀に囲われた現場では地中工事が行われていた。2026年度に15階建てのビルが完成予定。かつてここに狭い路地が張り巡らされ、回遊する楽しみがあったことが惜しまれる。
徒歩2分ほどで、新商業施設「JIYUGAOKA de aone(自由が丘 デュ アオーネ)」へ。ここで半世紀営業したスーパーマーケット「ピーコックストア」が建て替えられた。開業の式典で、自由が丘商店街振興組合の理事長原武さんは「街づくりの原点となる学校が、この場所にあった。(街にとって)聖地です」と話した。
「窓ぎわ―」のあとがきに黒柳さんは、トモエ学園があったこの地のことを記している。「昔の面影のないことは、わかっていましたが」としつつ、懐かしさのあまり、スーパーの前を車で徐行したことがあるという。
施設には、専門店が入っている。「一果房」は、シャインマスカットなど、厳選した旬のフルーツを使ったジュースやパフェを提供。ケーキ店が多く集まるスイーツの街で勝負を懸けていた。
緑豊かなテラスが広がり、くつろぐためのスペースも充実している。屋上の「はらっぱ」から、こんもりとした森を望んだ。九品仏浄真寺(世田谷区)だ。10分ほど歩くと、黒柳さんが「続 窓ぎわのトットちゃん」で「特別な場所」と表現する境内に着いた。トモエ学園で散歩に訪れ、黒柳さんが通った女学校が校舎として間借りした地だ。都の天然記念物に指定された大きなイチョウが悠然と枝葉を伸ばしていた。
【メモ】商業施設内のベンチや通路、ウッドデッキには、東京・多摩産のヒノキを使用。
(c)KYODONEWS