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2023.11.04 08:00

【政務三役の辞任】党組織にも問題がある

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 内閣改造のたびに不祥事が次々と明るみに出る事態にうんざりする。自民党議員の劣化、人材の枯渇を疑われても仕方あるまい。
 自民衆院議員の柿沢未途法務副大臣が、東京都江東区の木村弥生区長側の公選法違反事件に関与したとして引責辞任した。
 木村氏を巡っては、公選法に違反する有料インターネット広告を4月の区長選挙期間中に出したことが問題になっている。ネット広告の利用は、木村氏を支援していた柿沢氏の提案だったという。
 柿沢氏は違法とは認識していなかったとするが、選挙違反行為を把握しておくことは選挙に関わる者の基本だろう。知らなかったでは済まない。不正を主導した格好になっており、法秩序の維持を担う法務省の副大臣として職責を果たせるはずがない。辞任は当然だ。野党は議員辞職も求めている。
 9月の内閣改造で柿沢氏を起用した岸田文雄首相は任命責任を認め、「説明責任を果たすべきだ」と述べた。しかし、公の場での柿沢氏による説明は一切ない。また、野党の追及を避けるために、法務省と官邸が参院予算委員会を欠席させたと疑われるような対応もあり、野党の反発で国会が一時空転した。
 首相が口にする「任命責任」「説明責任」が軽い。国会が軽視される事態も相変わらずだ。これでは政治不信は拭えない。柿沢氏は疑問にしっかり答える必要がある。
 内閣改造後、文部科学政務官に起用された自民参院議員の山田太郎氏も女性問題で辞任した。資質を見抜くことができなかった。
 首相は、内閣改造で副大臣と政務官に女性を一人も起用しなかった人事に関して「適材適所」を強調していたが、そのメッキがはがれたと言わざるをえない。
 内閣改造前の8月にも、洋上風力発電事業を巡る汚職事件で秋本真利外務政務官が辞任した。政務三役の辞任が続く状況は、昨年10~12月、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係や政治資金問題などに起因して、4閣僚が辞任した「辞任ドミノ」をほうふつとさせる。
 こうした事態の背景には組織的な問題も考えられる。公認候補が世襲候補に偏るなどした結果、人材の発掘や育成ができていないのではないか。派閥の意向に重点を置きすぎた人事がうまく機能しないという面や、「自民1強」が続く中での緩みもあるだろう。
 過去の差別的な発言が問題視されていた杉田水脈(みお)衆院議員を総務政務官に起用したこともあった。アイヌ民族などに関する投稿で人権侵犯を認定されたばかりの杉田氏を、今度は党環境部会長代理とした。資質を見極められているのか、党内の綱紀はどうなっているのか疑問が残る。
 政務三役の辞任で政権が打撃を受けると懸念する自民だが、それは重要課題が山積する中での国会審議の停滞にもつながり、国民生活にしわ寄せが及ぶ。党の組織的な問題に目を向けるべきだ。

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