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2023.11.03 08:00

小社会 ヒマワリ

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 ヒマワリの特長はなんといっても、てっぺんに咲く太陽のような花だろう。夏、青空を背景にすると黄色がよく映え、力強さを感じる。遅咲きが咲き誇るいま時分は背景もヒマワリ、黄色尽くしでも温かみがあってよい。

 だからか先日東京で、偶然目にしたパンフレットに引かれて、新宿の美術館を訪れた。所蔵するゴッホの名画「ひまわり」を中心に企画展が開催されていて、実物を鑑賞できた。花瓶に生けられたヒマワリの絵は背景も黄色で明るい。やはり心温まるものを感じた。

 企画展の図録に興味深い解説が載っている。ゴッホの生前、「ひまわり」を見た批評家が作品をこう論じた。「どこか曖昧で輝かしい太陽神話の寓意(ぐうい)に対する彼の執拗(しつよう)な関心を認めなかったら、いったいどのように説明するのか」

 深読みに驚いたのはゴッホ当人である。弟宛ての手紙で「僕はあんな風には描いていない」。当人にとって絵を描くことは傷ついた心を癒やし、平穏をもたらす活動だった。ヒマワリにも癒やされていたのだろう。

 鑑賞しながらウクライナを考えた。ヒマワリが国花であり、世界最大の産地でもある。ロシアの侵攻が続く中、太陽のような花が、少しでも人々の心の支えになっているとよいが。

 きょうは「文化の日」。祝日法に「自由と平和を愛し、文化をすすめる」とある。芸術に親しめるのも平和であってこそ。早期の停戦を。もちろん中東も。

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