2023.10.20 04:30
探究する素数の世界 手に取って眺めてみる【数からの挑戦状#7】★解説動画連動★
素数
数学の世界にある、いまだに解けない問題や不思議な法則を、科学ライターの井筒智彦さんが毎月紹介します。古代から現代まで、人類が数と格闘した歴史も垣間見えます。
× ×
今回から何度かにわたって素数の話をします。
素数とは、1と自分自身でしか割り切れない数です。1は含めません。
小さい順に、2、3、5、7、11、13、17…と続いていきます。
素数をかけ合わせれば、どんな数でも作り出せます。「数の素」だから「素数」なんですね。
素数は小学校でも習う基本的な考え方ですが、数学者が人生をかけて取り組むような謎を数多く秘めているそうです。
中には解くと1億円を超える懸賞金がもらえる問題もあるんだとか。
そう聞くと、素数が気になってきます。まずは、手に取って眺めることから始めてみましょうか。
例えば、1から100までの数には、どんな素数があるでしょう?
一つずつ全てを判別していくのは大変です。
そこで「エラトステネスのふるい」という便利な方法を使ってみます。
まず1から100までの数を全て書き出します。
1は素数ではないので消します。
2は素数です。〇をつけて残し、そこから一つおきに、つまり、2の倍数を消していきます。
3は素数です。今後は二つおきに(3の倍数を)消します。次の4はすでに消えていますね。
5は素数なので、その倍数を消します。すでに消えている6を飛ばし、素数である7の倍数を消すと、はい、もう終わりです。
ふるい落とされずに残った25個の数が素数です。一部を表に載せています。
何か不思議に感じることはありますか?
数学者が億を目指して、いや、奥を目指して探究する素数の世界には、どんな魅力があるのか。少しずつ触れていきましょう。
(文・科学ライター・井筒智彦、監修・谷口隆神戸大大学院教授)
※井筒さんが出演して、より分かりやすく解説している動画があります。YouTubeで「数からの挑戦状」と検索してみてください。
× ×
いづつ・ともひこ 1985年東京都生まれ。東京大大学院博士課程修了。宇宙プラズマの乱流輸送現象を世界で初めて実証。米航空宇宙局(NASA)人工衛星の解析チーム入りを辞退し、広島県北広島町に移住。「限界集落から宇宙へ」を合言葉に町おこしに取り組む。
たにぐち・たかし 1977年兵庫県生まれ。東京大大学院博士課程修了。プリンストン大客員研究員などを経て神戸大大学院理学研究科数学専攻教授。専門は整数論。著書に「子どもの算数、なんでそうなる?」(岩波書店)
(c)KYODONEWS