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2023.10.20 08:00

【臨時国会開幕へ】課題と真摯に向き合え

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 第2次岸田再改造内閣が発足してから初の論戦となる秋の臨時国会がきょう、召集される。岸田文雄首相の所信表明演説は、参院徳島・高知選挙区補欠選挙などの投開票後となる23日に予定される。
 衆院議員は今月末に任期4年の折り返しを迎え、首相の解散戦略が注目される一方、国民の前で議論すべき課題は多い。生活を圧迫する物価高対策に加え、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と自民党の関係にはなお、有権者から厳しい目が向けられる。「丁寧な説明」が言葉だけに終われば、政治不信に拍車がかかりかねない。
 政府・与党はまず、月内の経済対策の策定と、裏付けとなる2023年度補正予算の成立を急ぐ。直近8月の実質賃金は前年同月比2・5%減で、17カ月連続のマイナスとなった。賃金はプラスで推移しているが、物価上昇に追い付かない実態が浮かぶ。
 経済対策は光熱費や食料品の高騰に直面する家計支援、賃上げの促進、人口減少対策などを柱としてとりまとめる。ただ、当面の負担を軽減する弥縫(びほう)策の羅列にとどまるようなら、円安基調に伴う輸入物価の上昇でその恩恵を実感しにくいのではないか。
 政府は、新型コロナウイルス禍で膨らんだ歳出を平時の水準に戻す方針だが、補正予算を巡る与党内の議論は「規模ありき」の様相だった。さらに、首相が税収増を受けて「減税」を口にすると、その手法についてさまざまな思惑が入り乱れた。衆院解散・総選挙をにらみ、支持拡大を狙ってのことだろう。
 だが、岸田政権が打ち出した防衛費の大幅増や少子化対策の財源は明確になっていない状況だ。財政規律が緩めば、国民の将来不安も募る。地に足の着いた議論が必要だ。
 うやむやのまま、残された宿題も多い。霊感商法や高額献金の被害が相次いだ旧統一教会の問題だ。政府が宗教法人法に基づく解散命令請求に踏み切って対応は一つの節目を迎えたが、教団と自民党の関係はいまだ全容の解明が進まない。
 岸田政権が安倍晋三元首相や地方議員との関わり、政策への影響といった実態調査に及び腰だからだ。教団への厳しい姿勢とは裏腹に、身内には甘すぎるのではないか。これでは政治に対する不信感が募るばかりだろう。
 自民党の不祥事に向き合わない姿勢は、これまでの「政治とカネ」問題にも通じる。洋上風力発電を巡る汚職事件で、衆院議員の秋本真利被告(自民離党)が先月、起訴されたほか、再改造内閣でも複数の閣僚や党幹部に政治資金の不適切な対応が指摘されている。誠実に説明責任を果たすべきだ。
 岸田内閣の支持率が過去最低の32・3%に沈んだ。逆に不支持率は52・5%に上る。その背景に、さまざまな疑惑をなおざりにしてきた姿勢があるとみて間違いあるまい。パフォーマンスではない、真摯(しんし)な議論を求めたい。

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