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2023.10.19 08:00

小社会 生を照らす

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 ようやくのこと自転車行にもふさわしい季節がやってきた。もちろん散歩もいいけれど、その快い風が遠乗りも促す。

 毎年恒例のことながら「県展」の会期日程というのは絶妙なものである。猛暑を乗り越えて「ああ秋だなあ」としみじみするような気候の中で開かれることになる。

 高知城近くのオフィスから自転車にまたがって、九反田から高須へと県展の2会場を巡った。ひるんでしまうような数の作品が並んでいる。この世に存在している美しさと感動のバリエーションはこんなにもあって、そしてそれを捉えた人たちが芸術作品というものにしていく時間の集積にも圧倒されるのだ。

 高校生が描いた透明感のあるビビッドでスタイリッシュな洋画に目を見張る。ベテラン作家が挑戦した新たな作風の日本画の前でたたずむ。幼い子の笑顔の一瞬を写した写真にあふれている幸福が伝わってくる。

 県立美術館で県展8部門を見終えてから、同館で15日まで開かれていたスピリットアート(県障害者美術展)に立ち寄った。心身を病んでしまうことがあっても、芸術の営みと喜びに変わりはない。いやむしろ切実になっていくのではないだろうか。

 そこに飾られた書道作品に心を揺さぶられた。字形の妙よりも選んだ言葉の率直にである。「すいか」「やきそば」「どうにもとまらない」「ふたりの愛ランド」「うえたさんがすき」。言葉がそれぞれの生を照らし輝く。

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